レディオヘッド/カーマ・ポリス(1997)

OK Computer[輸入盤2LP](XLLP781) [12 inch Analog]

【90年代ロックの快楽】
Radiohead – Karma Police

正直に言うと、「ロック」という音楽の進化と歴史は、レディオヘッドで終わったとわたしは思っている。

今ももちろんロックをやっている若者たちも中年たちも老人たちもたくさんいるけれど、申し訳ないけれど、あの懐かしい20世紀の「ロック」という音楽を再現しているにすぎないように思えてしまうのだ。
わたしにとってはレディオヘッドが、ロックの進化と歴史の、哀しいけれども、最後の姿だった。

彼らの3rdアルバム『OKコンピューター』を聴いたとき、わたしはあまりの衝撃に悶絶した。ロックの突然変異的な進化を目の当たりにしたような気分だった。

この賢くて優しい人類が、まるでH・R・ギーガーのエイリアンみたいな、凶暴で話の通じないやつに変貌したかようなショックを受けた。化け物みたいな音楽だった。
その造形は気持ち悪すぎて、この世のものとは思えないほどで、もはや美しかった。
世にも奇妙で美しいアルバムだった。

この曲はそんな『OK コンピューター』からのシングルで、全英8位のヒットとなった。アルバムの中では比較的とっつきやすい曲でもある。

歌詞には深い意味はないらしいが、曲には緊張感が漲り、まるで黄泉の国から聴こえてくるような幽玄で美しい曲だ。

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