≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その292
Radiohead – Paranoid Android
90年代も半ばになって轟音ギターブームも終わり、あーもーみんないなくなっていくなあ、なんて思っていたオルタナロックシーンの荒地にまだポツンと立っていたのがこのレディオヘッドだった。
わたしはレディオヘッドなんて93年の「クリープ」以降のことはよく知らなかったので正直、あ、まだいたんだ、ぐらいの印象だった。
しかしわたしがよそ見をしてるあいだに彼らの3rdアルバム『OKコンピューター』は全英1位になったうえに、内容的にも絶賛の嵐が尋常じゃなかったので、おいおいいったいなにごとだ、って感じであわてて聴いてみたのだった。
あっ。
プログレになったのか。
へーっ。
そう来たか。
『OKコンピューター』は、ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』、オアシスの『モーニング・グローリー』と並ぶ、90年代ロックを象徴する三大アルバムと言っても過言ではないだろう。
わたしはこのアルバムを、90年代の『狂気 The Dark Side of the Moon』だと思っている。
この「パラノイド・アンドロイド」は、その『OKコンピューター』からシングルカットされ、英国チャートで3位と、彼らのシングルとしては最高位を記録したヒット曲となっている。
よくまあこんなややこしいものがヒットしたものだ。
この世のものではない、あの世のものみたいなアルペジオから始まり、何度も変わるリズム、突然切り込んでくる暴力的なギター、すべての感情が死んだかのような虚無的な歌声、これを聴いてるとわたしは、すべてのロック中二病のための鎮魂歌のように思えてくるのである。