ハンク・ウィリアムス/ロンサム・ホイッスル(1951)

Ramblin' Man

【カントリーの快楽】
Hank Williams – (I Heard That) Lonesome Whistle

この曲もまた、淋しいカントリー・ワルツだ。

若い愚かさから愛する人を傷つけ、鎖と鉄球を付けられて刑務所の囚人となった男が、汽車の汽笛を聞いて寂しさを感じた、と歌う歌だ。
「ロォ~~~ンサム・ホィッソォォ~ゥ」のところは汽笛を模しているのだそうだ。
米C&Wチャート9位のヒットとなった。

ちなみに、メロディがそっくりな、かまやつひろしのヒット曲「どうにかなるさ」はこの曲から「インスパイア」されたらしい。
便利な言葉だな「インスパイア」って。

カントリーには汽車や刑務所がよく出てくる。
このハンク・ウィリアムスという人はヒット曲を連発したカントリー界のスーパースターだけど、本質的にはアウトロー・カントリーの元祖みたいな人なのかもしれない。

そのアウトロー・カントリーのレジェンド、ジョニー・キャッシュは1957年リリースの1stアルバム『Johnny Cash with His Hot and Blue Guitar!』でこの曲をカバーしている。このカバーも、絶品だ。

そのアルバムにはあの有名な「フォルサム・プリズン・ブルース」も収録されている。
刑務所の囚人の想いを歌った歌が2曲も入ってるなんて、凄いデビュー・アルバムだ。

そう言えば、ジョニー・キャッシュがMCをやっていたTV番組『ジョニー・キャッシュ・ショー』にハンク・ウィリアムスのジュニアが出演したとき、番組の最後にジュニアが「これは父の遺品だけど、あなたに持っていてほしい」と、キャッシュに拳銃を渡すシーンがあった。

まるで組長の形見を若頭に預けるみたいで、アメリカは凄い場面を放送するもんだなあと、ビビったものだった。

↓ ジョニー・キャッシュの絶品カバー。