エルヴィス・プレスリー/泣きたいほどの淋しさだ(1973)

ALOHA FROM HAWAII VIA

【カバーの快楽】
Elvis Presley – I’m So Lonesome I Could Cry

エルヴィスの1973年のライヴ・アルバム『アロハ・フロム・ハワイ(Aloha From Hawaii – Via Satellite)』に収録されたハンク・ウィリアムスの名曲のカバーだ。

月は雲に隠れ、夜鷹が寂しく鳴き、夜汽車は低くすすり泣きを、木の葉が死に絶え、コマドリが生きる望みを失い、流れ星が音もなく落ちていく、僕はほんとに泣きたいほど淋しいんだ、と歌う、もうこのまま目を閉じて死ぬんじゃないかと思わせるほどに哀しい、人生最後に見るようなモノクロの情景が浮かぶ。エルヴィスはこの歌を歌う前に「僕が知る限りで、最も悲しい曲だ」と紹介している。

わたしは孤独なんて慣れたもので、ちょっとやそっとじゃ淋しいなんて思わないけれど、ここに描かれた孤独はまるで、全宇宙が死んだ後にひとり取り残されたような孤独だ。自分が生きてるのか死んでるのかさえもわからないぐらいの孤独なのだろうなと思う。これはさすがにキツい。泣くしかないだろう。

でもエルヴィスは淋しげでありながらも、優しく、力強く歌う。
これを聴いていると、なぜか穏やかな気分になる。

ふとしたきっかけで遠い過去の情景を思い返している瞬間のような、時間が止まったような、そんな懐かしい、穏やかな気分だ。

↓ ハンク・ウィリアムスのオリジナル。

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