No.101 ハンク・ウィリアムズ/ムーヴ・イット・オン・オーヴァー (1947)

Anthology
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その101
Hank Williams - Move it on Over

この≪500≫に選ぶ曲の中で、たぶんこの曲が一番古い曲になるだろう。

1923年にアラバマ州で生まれたハンク・ウィリアムズが、24歳でMGMと契約して発売したシングルがこの曲だ。

ハンク・ウィリアムズはカントリー・ミュージック界のスーパーレジェンドであり、同時に「ロックンロールの父」と称されたりもする。

なぜロックンロールの父と呼ばれるのかは、この曲を聴けば一聴瞭然だ。
1954~55年にエルヴィスやチャック・ベリーがデビューして「ロックンロールの誕生」と呼ばれるその8年前にこの曲は発表されているが、もうほとんどロックンロールが出来上がっている。

ハンク・ウィリアムズは少年時代にギターを手に入れると、路上演奏をしていた黒人のブルースマンに、食事を提供するのとひきかえにギターを習ったのだそうだ。
そしてカントリー・ミュージックの先人たちであるロイ・エイカフやジミー・ロジャーズの影響も受けながら、彼の中でカントリーとブルースがミックスされていった。
ロックンロールはそんなふうに生まれたのだ。

ほかにも同じようにカントリーとブルースをミックスさせていったアーティストは同時代にたくさんいたと思うけど、このとても聴きやすくてだれもが心躍るような「ムーヴ・イット・オン・オーヴァー」をヒットさせて、アメリカ南部の広い範囲にロックンロールの種を撒いたハンク・ウィリアムズにはやはり「ロックンロールの父」の尊称がふさわしい。

わたしは最近になってやっと彼の音楽を聴くようになったばかりだけど、その音楽はとても興味深い。
初めてマディ・ウォーターズの音楽をまとめて聴いたときと同じように、現代まで綿々と続くロック&ポップスの源流の響きにあらためて感動を覚える。
源流に遡るほど水の流れは清々しく美しいものだ。

ハンク・ウィリアムズがロックンロールの父なら、ロックンロールの母はやはりマディ・ウォーターズだろうか。
母なんて言ったらマディに「I’m a man!」なんて怒られそうだけど。

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