ヒストリー・オブ・ロック 1973【西海岸と月の裏】Greatest 10 Songs

Dark Side of the Moon

1973

映画『アメリカン・グラフィティ』が公開されてオールディーズが見直され、日本ではオイル・ショックで物価が爆上がりし、小松左京によって日本が沈没させられたこの年、イギリスでは、ピンク・フロイドの『狂気』というメガヒット・アルバムが生まれた。

ただし、それ以外は総じて小粒、といっちゃ失礼なら、中粒ぐらいなのだ。イギリスではグラム・ロックも一気に沈静化し、なんだか淋しい状況だ。
アメリカは西海岸が相変らず賑やかではあるが、なにかこう全体に新たな大波みたいなものはやってこず、中波小波さざ波が安全に海岸を洗っている感じである。

なんとなく、ロック・シーンが安定期に入ったような感じだ。言い方を変えれば、ロック史上初の”停滞期”という気がしないでもない。プログレもこれをピークにして、翌年にはキング・クリムゾンも解散し、衰退していく。

百花繚乱70年代ロックの真っただ中ではあるけれども、なにか強烈な求心力に欠けるという印象だ。そして、翌年までこんな感じが続く。

ピンク・フロイド/マネー
Pink Floyd – Money

DARK SIDE OF THE MOON [12 inch Analog]

ピンク・フロイドと言えばプログレの代表格のようなイメージだけど、たしかに『原子心母』のようなアルバムはゴリッゴリのプログレにちがいないけど、この年のアルバム『狂気』は、デヴィッド・ギルモアの豪快なギターを中心にしたギター・ロックと言えるだろう。
SEを入れたり、変拍子なんかもあるけれども、前衛みたいなヘンなことはやろうとしていない。だから全米1位、全英2位、日本でもオリコン2位と、世界的なメガヒットとなったのだろう。この曲は『狂気』からのシングルで、全米13位のヒットとなった。

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ニューヨーク・ドールズ/ジェット・ボーイ
New York Dolls – Jet Boy

ニューヨーク・ドールズ

ちょうどグラム・ロックとパンク・ロックの橋渡し的な役割をしたのがこのニューヨーク・ドールズだった。中でもギターのジョニー・サンダースの存在が大きい。彼のワイルドながらキャッチーでくそカッコいいギター・プレイ、そしてソングライティングの才能も素晴らしく、悪い遊びも含めてセックス・ピストルズなどにも影響を与えている。この曲も彼の作曲だ。

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グランド・ファンク/アメリカン・バンド
Grand Funk – We’re an American Band

WE'RE AN AMERICAN BAND [LP] [Analog]

当時のアメリカのハード・ロックを代表するバンドがこのグランド・ファンクだった。
この曲は彼らの7枚目のアルバム『アメリカン・バンド』からのシングルで、全米1位の大ヒットとなった。
「世界一音が大きいバンド」としてギネス・ブックに載ったこともあったようで、このレコードのレーベル面にも「フル・ボリュームでお聞きください」と書かれていたそうだ。

スージー・クアトロ/キャン・ザ・キャン
Suzi Quatro – Can The Can

Can the Can

ベースを弾きながら歌うデトロイト出身のスージー・クアトロは、女性ロッカーの草分け的存在だ。ハード・ロック風のアレンジだが曲はあくまでポップでキャッチーだ。この曲はヨーロッパや日本で大ヒットして、当時の『こち亀』にまで彼女の名前が登場したことを憶えているが、なぜか本国アメリカでは彼女はあまり売れなかったようだ。

「キャン・ザ・キャン」の過去記事はこちら

ビリー・ジョエル/ピアノ・マン
Billy Joel – Piano Man

Piano Man

ビリー・ジョエルの2ndアルバム『ピアノ・マン』のタイトル曲で、彼の初めてのシングルだ。彼はニューヨーク出身だが、この時代はロサンゼルスで活動していて、この曲は当地のラウンジバーで歌っていた頃の経験をもとに書かれた曲。全米25位と大きなヒットにはならなかったが、しかし彼の代表曲としてその後も永く愛された名曲だ。

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トム・ウェイツ/オール55
Tom Waits – Ol’ 55

Closing Time

高校中退後にピザ屋の店員として働きながら歌を書き、ロサンゼルスのクラブで歌うようになった”酔いどれ詩人”トム・ウェイツもこの年にデビューした。
この曲は彼の名盤1st『クロージング・タイム』収録の、彼のデビュー・シングルとなった代表曲だ。翌年にイーグルスがカバーしている。

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スティーヴ・ミラー・バンド/ジョーカー
Steve Miller Band – The Joker

Joker the 40th Anniversary [12 inch Analog]

1968年にデビューしたサンフランシスコのバンドで、初期の頃はボズ・スキャッグスもメンバーだった。
初期の頃のブルース・ロックより、より気楽で軽快な音楽性に変化した7枚目のアルバム『ジョーカー』のタイトル曲で、全米1位の大ヒットとなった。

「ジョーカー」の過去記事はこちら

ドゥービー・ブラザーズ/ロング・トレイン・ランニン
The Doobie Brothers – Long Train Running

Captain & Me (Ogv) [12 inch Analog]

ツイン・ギターにツイン・ドラムというめずらしい編成で、アコースティックな響きながらファンキーでもある、独特なサウンドを創り出した、70年代ウエスト・コースト・ロックを代表したバンド。日本でも人気があり、なんとなくこの時代の西海岸というと真っ先にこのバンドを思い浮かべてしまう。この曲は彼らの良いところが出た、パワフルで勢いのある全米8位の大ヒット曲。

リトル・フィート/ディキシー・チキン
Little Feat – Dixie Chicken

ディキシー・チキン(MQA-CD/UHQCD)(完全生産限定盤)

カリフォルニア出身のリトル・フィートは当時のウエストコーストの中でもやや異色の音楽性のバンドだ。
これは彼らの3作目で代表作となったアルバム『ディキシー・チキン』のタイトル曲。ローウェル・ジョージのギターを中心に、ニューオリンズR&B風の力強いピアノとサザン・ロックが融合したような独自のファンキー・ミュージックだ。

カーペンターズ/イエスタデイ・ワンス・モア
Carpenters – Yesterday Once More

NOW & THEN [LP] (180 GRAM) [12 inch Analog]

ポップス史上最も美しい声を持つ歌姫カレン・カーペンターと天才ソングライターの兄リチャード・カーペンターの兄妹デュオ。日本でも洋楽アーティスト史上、1・2を争うほど人気があった(たぶん今でも)。数々の大ヒット曲があるが、この曲は全米1位、全英2位、そして日本のオリコンでも5位まで上がった、世界的ヒット曲。歌い出しのカレンの低音の美しさはいつ聴いても鳥肌が立つほどだ。

「イエスタデイ・ワンス・モア」の過去記事はこちら

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また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。
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ヒストリー・オブ・ロック 1973【西海岸と月の裏】Greatest 10 Songs(goromusic.com)

ぜひお楽しみください。

(by goro)