変幻自在・自由すぎるバンドの代表作 〜プライマル・スクリーム『スクリーマデリカ』(1991)【最強ロック名盤500】#29

SCREAMADELICA

⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#29
Primal Scream
“Screamadelica” (1991)

それにしても変わったバンドだと思う。

アルバムごとにコンセプトを変えたり、音楽性を変化させたりというバンドは、ビートルズがその手本を見せて以来、どのバンドも当たり前にやっていることだが、しかし変化の振り幅がここまで大きなバンドというのは滅多にいないのではないかと思う。

アルバムによってはまるで別のバンドのように思える。
年代順に曲を並べたベスト盤が、これほど聴きづらいバンドも他にいないだろう。

1stアルバム『ソニック・フラワー・グルーヴ』は、ザ・バーズのような、サイケ風フォーク・ロックだった。ベスト盤の類にこの時期の曲が選ばれることはほとんどないが、青春丸出しな感じがなかなか良かった。

2ndの『プライマル・スクリーム』で、彼らはローリング・ストーンズやストゥージズのようなロケンロールに挑戦した。当時は時代錯誤みたいだったからか、あまり売れなかったらしいが、方向性としては結果的にこれが後々まで生きてくる。

そして3枚目が本作、1991年9月にリリースされた、彼らの最高傑作と誉高い『スクリーマデリカ』である。

当時のイギリスのクラブシーンの流行だったアシッドハウスとロックを融合させた画期的なアルバムだった。

ハウスとロックの融合なんて、それだけならわたしもそんなに聴く気にならないが、そのロック要素はローリング・ストーンズの黄金期を手本にしたような、アメリカ南部の香り漂うものだったのが面白いと思った。ロックファンが布団の中で、ヘッドホンで聴いても楽しめるダンスミュージックだった。

冒頭を飾る「ムーヴィン・オン・アップ」、そしてアコースティック・ナンバーの「ダメージド」が特に好きだ。

他の曲と比べると明らかにロック色が強いのは、この2曲のみプロデューサーがジミー・ミラーだからだろう。ローリング・ストーンズの『ベガーズ・バンケット』から『山羊の頭のスープ』までの黄金期のすべての作品をプロデュースした、あのジミー・ミラーである。彼らはストーンズ黄金期のあの感じを出したいあまり、手っ取り早く、作ったご本人にご登場願ったというわけだろう。

一般的にはそれ以外の楽曲、アンドリュー・ウェザオールというDJがプロデュースした「ローデッド」や「カム・トゥゲザー」といったテクノ/ダンス系の楽曲ほうがよく知られ、彼らの代表曲になっているけど、まあそれは好き嫌いがあるかと思う。

発売から33年が経った今では、さすがに当時の流行だったテクノ/ダンス系の楽曲は色褪せ、退屈に思える曲も多い。『スクリーマデリカ』はその唯一無二感から、今でもプライマル・スクリームの代表作に挙げられることが多いけれども、これも彼らにとってはひとつの通過点に過ぎなかったのだなと思う。

その後彼らはストーンズ風ロケンロールで世界的に成功を収めたり、エレクトロニックをとことん追求したり、カントリーをブラッシュ・アップしたシングルをヒットさせたり、21世紀になってもまた新しい響きのポップ・ソングを誕生させたりしている。

キャリアを重ねるとバンドはつまらなくなる、というのは彼らの場合はあてはまらないようだ。彼らは毎回、新しいアルバムのたびに新たなチャンレンジを続けている。

それゆえわたしは、いまだに彼らの新譜が出るたびに、今度はいったい何をやらかしたかと、期待でワクワクさせられる。こんなバンドは他にいない。

だからこそ、プライマル・スクリームだけはいまだに気になるのだ。

↓ MVも、まんまストーンズな「ムーヴィン・オン・アップ」。

↓ こちらもストーンズの「ノー・エクスペクテーションズ」あたりを彷彿とさせる「ダメージド」。アレンジも良いし、ギター・ソロもすごく好きだ。

(Goro)

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