No.194 プライマル・スクリーム/ロックス (1994)

Give Out But Don't Give Up
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その194
Primal Scream – Rocks

1stアルバムではフォークロック、2ndはガレージロック、3rdはハウスミュージックと、1作ごとに音楽性をガラリと変え、意表をついて楽しませてくれた彼らの4枚目はメンフィス録音、70年頃のストーンズを思い出させるような南部の香りのするロケンロールアルバムだった。
「ロックス」はシングルとしてもヒットし、これで彼らは一気に知名度を上げた。

売人はヤクを売り
泥棒は盗みまくる
売春婦は体を売り
ジャンキーは剃刀の刃で白いラインをつくる
取引の場所はホモの溜まり場で
ストリップ小屋は背中を丸めたオナニー野郎でいっぱいだ
淋病のせいであそこが痒くて仕方ない

悩みなんか忘れて、やろうぜハニー
ダウンタウンに繰り出し乱痴気騒ぎだ
ヘロヘロになってやりまくろうぜ
(written by Bobby Gillespie, Andrew Innes, Robert Young)

歌詞の内容も絵にかいたような恥知らずのロケンロールだが、あえてそういうものをつくろうとしたのだろう。

プライマル・スクリームにはこんなロケンロールアルバムは実はほとんどない。

彼らはまるで映画の監督かプロデューサーのように、「今回はこんなコンセプトで、こういう物語でいこう」みたいに、作品を製作している印象がある。
前作はサイコサスペンスだったけど、今回はギャング映画でいこう、みたいな。
だから「どれが本当のプライマル・スクリームなのか?」なんていう疑問はもちろん愚問なのだ。

だからこれが彼ららしい音楽と言えるのかはわからないけど、その当時彼らに一番求められていたタイプの音楽でリスナーの期待にドンピシャで応えたのはたしかただろう。だから売れた。
やはりアーティストはどんなかたちでも、売れれば成功なのだ。
売れなければ、次にチャレンジする権利すら与えられない。

前作の『スクリーマデリカ』がわたしは好きだったが、このアルバムの「ロックス」「ジェイルバード」あたりは今聴いてもやはりよくできたロケンロールだと思う。

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