No.452 イギー&ザ・ストゥージズ/サーチ&デストロイ (1973)

Raw Power

≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その452
Iggy & The Stooges – Search and Destroy

わたしはハタチぐらいのときにピストルズやラモーンズから始まって、パンクロックを聴き漁り、そこから源流へ遡るようにしてこのストゥージズを聴いたのだった。
そのとき初めて聴いたのがこの曲だった。

もうすっかりパンクに染まって荒っぽくなっているわたしの耳ですら、「これはマジのヤベーやつじゃん」とうろたえたものだった。
ミックスのバランスも変だし、ノイジーで聴きにくく、気違いじみたテンションだ。
エンターテイメントの要素ゼロだし、いくらロックと言ったってこんな凶暴でアブないものは聴いたこともない。
でもわたしは、心臓が動悸動悸するほど興奮したのだ。

ちなみにここに挙げた音源は粗悪なライヴ音源ではなく、間違いなく正規のスタジオ録音である。
しかもこれをプロデュースしたのはデヴィッド・ボウイである。
あの人も、一皮むいたらマジのヤベーやつなんだと思う。

この曲は1973年、ベトナム戦争の末期に発表された。

「Search and Destroy」とは、ベトナム戦争における米軍の作戦名だ。
敵の北ベトナムゲリラは戦車などが入れない森の中に潜んでいたので、ヘリコプターで上空から探し出して、爆撃機からナパーム弾を投下して焼き払うという作戦だ。
当然のことながら、このような作戦では、ベトナムの兵士も民間人も区別がつかず、大量の犠牲を出すことになった。

たのむよ、おれを救ってほしい
おれを爆破してほしいんだ
おれは世界から忘れられた男
たったひとりで、サーチ&デストロイを実行するんだ
(written by Iggy Pop, James Williamson)

現在もアメリカでちょくちょく起こる、銃乱射事件なんかを想起してしまうような、マジのヤベー歌詞だ。