No.364 ブルース・スプリングスティーン/ザ・リバー (1980)

RIVER
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その364
Bruce Springsteen  The River

遥か遠い遠い昔の若い頃、「そうだ、ハーモニカを吹こう」と思い立った時に、まずこの曲を練習したことを覚えている。

下手クソなりにごまかしごまかし吹けているような気になった頃、では他の曲をやってみようと思ったところで曲のキーが違うとまた別のハーモニカを購入しなければならないことを知り、当時ケツを拭く紙にも困っていたわたしは断念せざるを得なかったのだった。

「ザ・リバー」の歌詞もまた、スプリングスティーンらしい、閉塞感に満ちた田舎町が描かれる。

おれはメアリーを妊娠させて、19歳で結婚した
結婚式の笑顔は無く、花束もウェディングドレスもなかった
おれは建設会社に職を得た
しかし最近は不況で、仕事も無くなってきた

大切に思っていたすべてのことが虚しく消えてしまった
おれは忘れてしまったふりをして
メアリーは無関心を装っている
叶わなかった夢は、すべて偽りだったことになるのか
それともこれは、なにかもっと悪いことなのか

そんな思いがおれを川へと向かわせる
あの川はもうとっくに干上がってる
わかってはいるけど、おれは今夜も川へと向かうんだ
(written by Bruce Springsteen)

わたしは17歳の時にこの曲を知り、その歌詞に、共感やら動揺やら孤独やら虚しさやら、いろんな感情に揺さぶられた。
あれからもう30年以上が経つというのに、いまだに同じ感情がざわざわと襲ってきて、なんだか泣けてくる。

前にもどこかで書いたと思うけど、わたしは外国映画でも日本映画でも、地方都市を舞台にした、人々の澱んだ感情やその閉塞感が漂ってくるようなものが異常に好きだ。
大都会のおしゃれな生活やサクセスストーリーなんてものにはまったく興味がわかない。
こういう嗜好はたぶん10代の頃に共感したスプリングスティーンの世界観がものすごく大きく影響しているように思う。

このライヴ動画は1980年当時のものだ。
いつも全身全霊でパフォーマンスするこんなヴォーカリストが当時は少なかったこともあり、われらのヒーローみたいにカッコ良かったものだ。

記事を書いた人(Goro)

愛知県在住。中学卒業後、無知蒙昧のまま社会にさ迷い出て、底辺職を転々した後、地元の映画館に拾われる。映画館に10年勤めた後、レンタルビデオチェーンのバイヤーを20年勤め、現在は再び底辺職で肉体労働の日々に返り咲く。心に平安が訪れている。生活に不満はなし。音楽にはいろいろと救われている。「映画は映画館で観なきゃダメ派」ではない。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. ごろー より:

    新しい
    スプリングスティーンとスミスを比較するという切り口は新しいですねえ(笑)。
    たしかにアメリカーナな感じが濃い人なのでそういう見方もできるのかな。面白いです。

  2. フー太郎 より:

    BOSSの貫禄
    ブルースのサウンドって先入観なく聴くと、凄いポップに聴こえる気がします。昔に比べたら歌詞の世界観に幾らかの広がりが見えますが、世界規模ではなくあくまでアメリカのみの本国一点主義
    な感じがU2やR.E.M.というよりは、ザ・スミスに近い感性をブルースから感じました。