ハンク・ウィリアムス【名曲ベストテン】HANK WILLIAMS Greatest 10 Songs

Very Best Of 2Lp 180G Red Viny [Import] [Analog]

米アラバマ州出身のハンク・ウィリアムスは、1947年にデビューし、1953年に29歳で世を去った。

彼は幼少の頃に黒人のストリート・ミュージシャンからギターを習ったことで、カントリー・ミュージックにブルースやスウィングの要素を自然に取り入れ、斬新でありながら、よりポップで親しみやすいスタイルを創った。

彼はわずか6年間のあいだに、米C&W(カントリー&ウエスタン)チャート1位の大ヒット曲を10曲も生み、トップ40には30曲を送り込んだ。
彗星のごとく現れて圧倒的な人気を博し、あっという間に駆け抜けた彼は、カントリーの歴史を変え、真に伝説となったカントリー界の大スターだった。

彼は二分脊椎症という生まれつきの持病を持ち、その痛みをごまかすために飲み始めた酒やモルヒネが依存症となり、人気絶頂のときですら、仕事がまともにこなせない状態だった。華やかな成功の裏では、苦痛と苦悩に満ちた人生だった。

わたしは彼の、キャッチーなメロディも好きだし、ロックンロールの原型のようなカッコ良さも好きだけれど、なによりもあの、深い哀しみや孤独、人生の苦悩や心の闇を、感情を振り絞るように歌う歌声に感動を覚える。

ハンク・ウィリアムスの生涯を描いた2015年の映画『アイ・ソー・ザ・ライト』の中にこんなセリフがある。

「誰もが闇を抱えて生きている。やりきれない怒り、悲しみ、後悔。僕がすべて歌にするよ。そうすればみんなが、辛いことを忘れられるだろう」

先日のマディ・ウォーターズの項で、彼を「ロックの父」と書いたが、それで言うとこのハンク・ウィリアムスは「ロックの母」になるのかもしれない。
いやどっちが父でも母でもいいのだけれど、要するにロックンロールとは、カントリーとブルースの間に生まれた「あいのこ」であって、カントリー界の中でもやけに派手なスーツを着たこの人はどうも血のつながりがいちばん濃いように思えてならないのだ。

以下は、わたしが愛するハンク・ウィリアムスの至極の名曲ベストテンです。

第10位 ラヴシック・ブルース(1949)
Lovesick Blues

曲はオリジナルではなく、1920年代のミュージカル・ナンバーだ。
これがカントリー・ファンのみならず広いリスナーに受け入れられ、ハンク・ウィリアムスにとって初めてのC&Wチャート1位、全米24位となった大ヒット曲。C&Wチャートではなんと16週のあいだ1位の座に居続け、一気にカントリー界の大スターとなった。

第9位 コールド・コールド・ハート(1951)
Cold, Cold Heart

不誠実な浮気男が、自分のせいで妻の心は冷え切ってしまった、あの冷たい冷たい心を溶かすにはどうしたらいいんだろう、と歌う歌。

実は作詞は別の人だという説もあるが、あまりに彼の結婚生活そのままだったからなのか、作詞・作曲共にハンク自身のものとして通っている。C&Wチャート1位の大ヒットとなった。

第8位 ロンサム・ホイッスル(1951)
(I Heard That) Lonesome Whistle

若い愚かさで愛する人の心を傷つけ、鎖と鉄球を付けられて刑務所の囚人となった男が、汽車の汽笛を聞いて寂しさを感じた、と歌っている歌。「ロォ~~ンサム」のところは汽笛を模しているのだそうだ。C&Wチャート9位のヒットとなった。

カントリーには汽車や刑務所がよく出てくる。このハンク・ウィリアムスという人はヒット曲を連発してものすごく人気があった人だけど、本質的にはアウトロー・カントリーの元祖みたいな人なのだろう。

「ロンサム・ホイッスル」の過去記事はこちら

第7位 ヘイ、グッド・ルッキン(1951)
Hey Good Lookin

コール・ポーター作のオリジナルを元に、ハンク・ウィリアムスが改作したもの。
「はーい、美人ちゃん、僕と一緒に料理でもしないか? 新しいレシピが出来るかもよ。僕は改造フォードを持ってるし、丘の上に楽しいところがあるんだよ」と歌う、なんかいろいろ暗喩になってるのかもしれないけど、要はナンパの歌だ。ポップで明るい歌で、C&Wチャート1位の大ヒットとなった。

「ヘイ、グッド・ルッキン」の過去記事はこちら

第6位 アイ・ソー・ザ・ライト(1948)
I Saw The Light

ハンク・ウィリアムスの生涯を描いた2015年のアメリカ映画『アイ・ソー・ザ・ライト』のタイトルにもなった代表曲。

「わたしは光を見ました、もう暗闇ではありません。わたしは幸せです。主を賛美します」と歌う宗教的な内容の歌で、カントリーとしてもゴスペルとしても広く親しまれた曲だ。

映画『アイ・ソー・ザ・ライト』の過去記事はこちら

第5位 心のきずなを解いてくれ(1953)
Take These Chains From My Heart

1952年9月、死のおよそ3カ月前に録音された、ハンク・ウィリアムス最後の録音のひとつ。
彼への愛を失ってしまった女に対して、「わたしの心の鎖を解いて、わたしを解放してください」と歌う歌。

そんなこと相手に頼むことじゃないような気もするが、自分ではどうにもできないほどの深い苦悩だということなのだろう。C&Wチャート1位の大ヒットとなった。

第4位 ムーヴ・イット・オン・オーヴァー(1947)
Move It On Over

ハンク・ウィリアムスが24歳のときにMGMと契約し、リリースしたデビュー・シングル。いきなりC&Wチャート4位の大ヒットとなった。
ポップで心躍るようなこの楽しい曲は、まさにロックンロールの原型と呼ぶにふさわしい。

「ムーヴ・イット・オン・オーヴァー」の過去記事はこちら

第3位 ジャンバラヤ(1952)
Jambalaya (On the Bayou)

C&Wチャート1位、全米20位の大ヒットとなった、ハンク・ウィリアムスの数あるヒット曲の中でも最も有名な曲。カーペンターズがカバーして1974年にリリースしたことから、日本でも最もよく知られているカントリー・ナンバーのひとつだ。

「ジャンバラヤ」とはルイジアナ州南部のフランス系移民ケイジャンの郷土料理の名前だ。パエリアみたいな。歌詞にはそのケイジャン文化がいろいろと盛り込まれている。

「カーペンターズ/ジャンバラヤ」の過去記事はこちら

第2位 ユア・チーティン・ハート(1953)
Your Cheatin’ Heart

この曲も1952年9月の、最後の録音セッションで録音された曲だ。彼の死から数週間後にリリースされ、C&Wチャート1位となった。ハンク・ウィリアムスのみならず、カントリー・ミュージックの最高傑作のひとつとして高く評価されている。

タイトルは「浮気なおまえ」という意味だけど、いやどの口が言ってるのか…と言いたくなるのはグッと抑えることにして、愛する女性が浮気して去って行き、おまえのような女はいつか自分が同じ目に合うに違いない、と歌う、恨み節のような歌だ。

「ユア・チーティン・ハート」の過去記事はこちら

第1位 泣きたいほどの淋しさだ(1949)
I’m So Lonesome I Could Cry

月は雲に隠れ、夜鷹が寂しく鳴き、夜汽車は低くすすり泣きを、木の葉が死に絶え、コマドリが生きる望みを失い、流れ星が音もなく落ちていく、僕はほんとに泣きたいほど淋しいんだ、と歌う、もうこのまま目を閉じて死ぬんじゃないかと思わせるほどに哀しい、まるで人生最後に見る情景のようだ。

曲はシンプルなものだけど、わたしはこの歌が一番好きだ。なぜかグッと心を掴まれる。
C&Wチャート2位のヒットとなった。

「泣きたいほどの淋しさだ」の過去記事はこちら

入門用にハンク・ウィリアムスのアルバムを最初に聴くなら、『ジャンバラヤ~ハンク・ウィリアムス・ベスト・セレクション』がお薦め。26曲入りで、代表曲はほぼ網羅されています。もっとガッツリ聴きたい人には2枚組の『40 Greatest Hits』をお薦めします。

以上、ハンク・ウィリアムス【名曲ベストテン】HANK WILLIAMS Greatest 10 Songsでした。

(by goro)

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