ビデオ時代が生んだ”泣ける映画”の代表作【死ぬまでにもう一度見たい映画を考える】その15

ショーシャンクの空に の映画情報 - Yahoo!映画

久しぶりに、死ぬまでにもう一度見たい映画を考えよう。

前回はクリント・イーストウッドのアカデミー作品賞受賞作『許されざる者』などがあった1993年の日本公開映画をチェックしたんだった。

なので次は1994年に日本で公開した映画のリストを見ているのだけれども。

あんまりないなあ。

この連載では既出の、スピルバーグ監督『シンドラーのリスト』、タランティーノ監督『パルプ・フィクション』、エリック・ロメール監督『木と市長と文化会館』はもう一度見たい映画に既に挙げている。

カリートの道 [DVD]

ブライアン・デ・パルマ監督の『カリートの道』(’93)は、あんまり覚えていないけど、もう一度みてみたいかな。アル・パチーノとショーン・ペンというそそられる豪華共演で、出所したばかりの老麻薬王がヤク中弁護士の悪事に巻き込まれマフィアに追われる身になるという話だ。

ブライアン・デ・パルマ監督とアル・パチーノと言えば、『スカーフェイス』(’83)もあったし、ショーン・ペンは戦争映画『カジュアリティーズ』(’89)にも出てた。

他に、デ・ニーロがアル・カポネを演じた『アンタッチャブル』(’87)、それからトム・クルーズの代表作のひとつになった『ミッション:インポッシブル』(’96)もデ・パルマ監督の代表作だ。この辺りももう一度見てみたいかな。

アンタッチャブル (字幕版)
その次の95年もあんまり多くはない。急に映画を見なくなった年でもあるからだ。

というのも、わたしはこの年の新年早々に、10年務めていた映画館を辞めたのだ。
1月17日がわたしの送別会だったのだけれども、集まった居酒屋のTVの映像に全員が釘付けになっていて、わたしの送別どころではなかったことを憶えている。その日の朝、阪神淡路大震災が発生したのだ。街中に火の手と黒煙が上がり、高速道路が横倒しになった映像を見て、われわれは呆然としていた。

映画館を辞めたのは今思うと拙速だったし、やさぐれ流浪の期間を過ごすことになるが、しかしその後結局はもっと面白い人生が待っていた。わたしはいつもそうだ。岐路に立つと熟考したうえで明らかに間違った選択をするのだが、そこで思っても見なかった幸運を拾い、結果オーライとなるのだった。そんなことの繰り返し。

映画館を辞めてからは映画館で映画を見ることも少なくなった。わたしは「映画は映画館で観ないとダメ派」ではない。「お家のテレビで充分派」だ。なので、以下に挙げる95年の公開作も、後からほとんどはビデオやDVDなどで見たものだ。

リュック・ベッソン監督の『レオン』、ロン・ハワード監督の『アポロ13』はどちらも好きだけど、すでにこの連載で触れたな。

告発 [DVD]

ケヴィン・ベーコン主演の『告発』(’95)は、アルカトラズ刑務所が閉鎖に追い込まれた実話の映画化で、強く印象に残っている。

アントニオ・バンデラス主演の『デスペラード』(’95)はロバート・ロドリゲス監督の出世作だったけれども、この監督はそれよりも、前半と後半で映画の世界観が一変する『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(’96)が衝撃的だった。あんな映画は見たことなかった。これだけはもう一度見てみたいな。同じ監督のSFホラーの『パラサイト』(’98)、『プラネット・テラー』(’07)も好きな作品だ。

フロム・ダスク・ティル・ドーン [DVD]

そしてこの年公開の名作として現在でもよく知られているのがフランク・ダラボン監督の『ショーシャンクの空に』(’94)だろう。

今でこそ超有名映画となっているが、本国アメリカでもあまりヒットしていなかったし、日本でも興収6億と、ヒットしたとは言い難い成績だった。
しかしその後のビデオレンタル店における「泣ける映画」の代表的作品としての異常な程の人気ぶりは、1年後にレンタルショップに就職したわたしもよく知るところだ。口コミの力が大きいが、レンタルショップの積極的な推薦アピールやコーナー設置などもそれを促進したのは間違いない。5年後に公開されたダラボン監督の『グリーンマイル』(’99)の興収65億は、5年の間にいかにショーシャンクが多くの人の知ることになったかということを如実に表している。その期待値がそのまま劇場の集客につながったことは間違いないだろう。

ショーシャンクの空に [DVD]

評価が高いわりに寡作の監督で、劇場用映画は他に、ジム・キャリー主演の『マジェスティック』(’01)、『ミスト』(’07)しかない。『マジェスティック』だけ、見たのか見てないのかどうにも思い出せないが、それも含めて全作品をもう一度見てみたい。

フランク・ダラボンといえば、企画・製作を務めたTVシリーズ『ウォーキング・デッド』(’10〜)も世界的な大ヒットとなった。

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わたしも全部見たが、シリーズ中最悪の敵ニーガンが大暴れするシーズン6〜7あたりをピークに、その後は魅力的な登場人物もどんどん死んでいってしまうし、主人公もいなくなってしまうし、だんだん話が停滞もしてきて、仕方なく惰性で見ていたような気がする。でもこれの前半はすごく面白かったので、映画ではないけど、いつかもう一度最初から見てみたいとも思う。

(Goro)