2000年 隣国襲来の衝撃【死ぬまでにもう一度見たい映画を考える】その20

シュリ [DVD]

韓国映画『シュリ』(’99)の”襲来”はまさに事件だった。

アクション映画としてのクオリティでハリウッドに引けを取らず、リアリティや緊張感はそれ以上にさえ感じられる。脚本の独創性も役者の演技のレベルも高く、それまで韓国映画というものを見たことがなかったわたしにとっては、衝撃的というほかなかった。

少なくとも日本の映画でこんなクオリティのアクション映画を見たことはなかった。次元の違う、圧倒的な力の差を見せつけられて茫然とするような気分だった。

『シュリ』に続いて、同じハン・ソッキュ主演の『カル』(’99)もこの年公開された。これもまた異様な緊張感と迫力に満ちた、深い闇に引き摺り込まれていくような気分になるサイコ・サスペンスだった。

カル の映画情報 - Yahoo!映画

演出にしろ撮影にしろ編集にしろ小道具にしろ、細部にまで徹底的にこだわって作られている。誰が言ったか忘れたが、芸術作品において「魂は細部に宿る」のである。

この『シュリ』の日本での商業的成功以降、わたしは続々と襲来してくる韓国映画の新作をこまめにチェックすることになる。そして『シュリ』をも遥かに凌駕するようなとんでもない傑作や、恐るべき作品に次々と出会うことになるのだ。

映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が奏でる一人の女性の運命とは | Dogal

ラース・フォン・トリアー監督の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(’00)も素晴らしかった。このデンマーク人の監督の96年の作品『奇跡の海』にもわたしは深い感銘を受けたが、それをさらに上回る名作となった。
ものすごくマニアックで過激で異常な映画を作る人なので、まさかこれほど世界中で愛される代表作が生まれるとは正直思わなかった。ビョークのおかげだろうな。

ブエナ★ビスタ★ソシアル★クラブ Film Telecine Version [DVD]

音楽に造詣が深いヴィム・ヴェンダース監督がキューバの老ミュージシャンたちを撮ったドキュメンタリー『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(’99)もまた新しい世界を教えてくれた刺激的な作品だった。音楽も面白く、もう一度あの独特の雰囲気に浸ってみたいものだ。

グリーンマイル の映画情報 - Yahoo!映画

この年のアメリカ映画で、もう一度観てみたいと思う映画は、フランク・ダラボン監督の『グリーンマイル』(’99)、わたしの好きなケヴィン・スペイシーの主演でアカデミー賞を獲った『アメリカン・ビューティー』(’99)、クリント・イーストウッド監督の『スペース・カウボーイ』(’00)、そしてジュリア・ロバーツが良かった、ソダーバーグ監督の傑作『エリン・ブロコビッチ』(’00)あたりだろうか。

エリン・ブロコビッチ コレクターズ・エディション [DVD]

邦画では阪本順治監督の『顔』(’00)が傑作だ。殺人犯として15年間逃亡生活を続けた福田和子の事件をベースにした物語だ。何しろ主人公を演じた藤山直美が素晴らしい。

顔 [レンタル落ち]

(Goro)