ザ・ビーチ・ボーイズ/ドント・ウォーリー・ベイビー(1964)

シャット・ダウン VOL.2 +1

【60年代ロックの快楽】
The Beach Boys – Don’t Worry Baby

ビーチ・ボーイズの5枚目のアルバム『シャット・ダウンvol.2(Shut Down Volume 2)』収録曲。シングル「アイ・ゲット・アラウンド」のB面にも収録されたが、後にA面よりも評価が高くなっていった曲だ。

ブライアン・ウィルソンが、フィル・スペクターによるロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」を聴いて衝撃を受け、すでにビーチ・ボーイズでヒットを連発していたにも関わらず「僕にはとてもこんな凄い曲は書けない」と不安に駆られたという。そんな彼の様子を見て当時の恋人が「心配しないで、あなたになら出来るわ」と言ったセリフから思いついた曲なのだそうだ。

一聴してフィル・スペクターに影響を受けているのはわかるが、余裕で「ビー・マイ・ベイビー」を超えちゃってるのが凄い。「ボクには無理だよう」と言いながらとんでもない名曲を生み出す、目の据わった天才を想像してしまう。

ブライアン・ウィルソンはビートルズの『ラバー・ソウル』を聴いたときも「僕にはとてもこんなアルバムは作れない」と不安に怯えて落ち込んだりするのだが、その影響を受けて作ったアルバムが『ペット・サウンズ』で、いともあっさりビートルズ超えをしてしまうのである。

追いつめられると力を発揮するタイプなのかもしれない。

わたしはこの曲を最初に聴いたとき、そのメロディのあまりのアクロバティックな跳躍や回転や着地に、「ニルヴァーナかよ」と思ったものだった。

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