ドリフターズ/アップ・オン・ザ・ルーフ(1962)

Up On the Roof.

【60年代ポップスの快楽】
The Drifters – Up on the Roof

60年代ニューヨークの天才ヒットメーカー、キャロル・キングとジェリー・ゴフィンの夫婦コンビによって書かれた名曲。全米5位の大ヒットとなった。

キャロル・キング(当時20歳!)が運転中にメロディを思いつき、ジェリー・ゴフィンが映画『ウエスト・サイド・ストーリー』に触発された歌詞を付けたという。

「街は人が多すぎ、競争は激しすぎ、僕は疲れてうんざりしてしまう。そんなときは屋根にのぼって街を見下ろし、辛いことは空に飛ばして忘れるんだ。君もくじけそうになったらやってみないか?」と歌う歌だ。

ドリフターズはNYで1953年に結成されて以来、メンバーを入れ替えながら、現在まで続くグループだ。過去に在籍したメンバーは総勢60名にも及ぶという。

中でもリード・ヴォーカルを取ったベン・E・キングが有名だが、彼が在籍したのは1958~60年の2年ほどに過ぎない。この曲はすでに彼が脱退した後で、リード・ヴォーカルはルディ・ルイスが取っている。

作詞を担当したジェリー・ゴフィンは、自身の最高傑作にこの曲を挙げている。
キャロル・キングの代表曲のひとつとしても知られ、彼女が1970年に発表したソロ・デビュー・アルバム『ライター(Writer)』には自身によるセルフ・カバーも収録している。

とは言え屋根の上というと、悩み多き青年への共感は若い頃ならともかく、今はどちらかというと現場労働者のオッサンたちのほうにシンパシーを感じるわたしなどは、太陽が照りつける熱々の屋根の上で汗と埃にまみれて働く、職人や技師や工夫といった地の塩のみなさんが働く姿をついつい思い浮かべながら聴いてしまう。

みなさん、今日もご安全に。

↓ キャロル・キングのバージョン。

↓ 上のキャロル・キング・バージョンでギターを弾いたジェームズ・テイラーも、1979年にシングルでリリースし、全米28位のヒットとなった。完成度の高い素晴らしいカバーになっている。