【ディランのアルバム全部聴いてみた】『MTVアンプラグド』(1995)

1990年にエアロスミスから始まった、MTVの〈アンプラグド〉というシリーズ企画は、ロック・アーティストがエレキギターなどの電気楽器を（なるべく）使わず、主にアコースティック楽器でパフォーマンスするという、ある意味時代の流行に逆行するスタイルだったが、その新鮮なアレンジがウケて、次々と大物アーティストが出演したものだった。

ディランの出演は、ついにアンプラグトの本家本元登場といった感じで大いに話題になったものだ。本作はそのときの模様を収録したライヴ・アルバムである。

セールスも久々に良く、全米23位、全英10位、日本のオリコンチャートでも28位を記録するというヒット作となった。

ディランなので、バックのアレンジだけではなく、歌メロもまた大きくアレンジされているが、正直、いくつかはふざけて歌ってるように聴こえるぐらい崩してしまっているものもある。ディランの歌唱は確かに、絶好調とまでは言えないだろう。

でも全体にアレンジは良いし、「デソレーション・ロウ」なんてこんなに豊かなメロディが隠されてたんだなとあらためて気づくほどだった。

ともかく、ディランが元気そうでなによりだ。

↓ アレンジはしっかりしてるのに、歌を崩し過ぎな「天国の扉」。