ヒストリー・オブ・ロック 1980【ニューウェイヴとメタルとひとつの時代の死】Greatest 10 Songs

バック・イン・ブラック

1980

セックス・ピストルズを脱退し、P.I.L.を結成したジョン・ライドンの「ロックンロールは死んだ」という宣告の通り、パンク・ムーヴメントと、栄華を誇った70年代ロックの時代は完全に終わりを告げた。

そして1980年代という新たな時代と同時に始まったのが”ニュー・ウェイヴ”の時代だった。
ハリケーンのようにパンク革命が通り過ぎた後、崩壊したロック・シーンの、その瓦礫の山から使えそうなものを拾い集めて、自由に加工する遊びが始まったのだ。

ノイズだけを取り出す者がいれば、アート風に色付けして組み立ててみる者もいた。最新の電子機器と組み合わせたり、逆に途上国の原始的な道具と組み合わせてみる者もあった。

この年だけでも、”ニュー・ロマンティック”、”ジャングル・ビート”、”ゴシック・ロック”、”エレクトリック・ポップ”、”ワールド・ミュージック”、” NWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)”などなど、次々と新しいサウンドが登場した。

80年代ロックは、自由で斬新な発想を競い合う一大実験場となり、耳新しい新鮮なサウンドが次から次へと生まれた。それは、ワクワクするような時代でもあった。

しかし、いつの時代もロックには暗い影が付きまとう。まるで呪われた音楽のように。

この年のロック界は、ジョン・レノンを失った。

彼はロックという、20世紀の若者たちが熱狂した、素晴らしい文化を世に広めた最大の功労者の1人であり、愛と平和を歌い、世界から憎悪や殺し合いを無くしたいと願い、その影響力を発揮した。
それがひとりの「有名になりたかった」と言う名も無きくだらぬ男によって殺されたのは、なにか全宇宙の大きさに匹敵するほどの無力感や虚無感を感じてならない。ひとつの時代の終わりを告げた事件だった。

以下は、そんな縁起の悪いスタートとなった新しい時代、ロックの一大実験場となった80年代のスタート、1980年を象徴する名曲10組10曲を選んでみました。

アダム&ジ・アンツ/アントミュージック
Adam & The Ants – Antmusic

Kings of the Wild Frontier

「パンクの次に来るのはコレだ!」みたいな強力な推しを当時の音楽雑誌から感じたことをよく憶えている。ヴィヴィアン・ウエストウッドによる独特のファッションにメイク、ジャングルビートと呼ばれた独特のサウンドで人気を博し、この年リリースされた2ndアルバム『アダムの王国』は10週連続全英1位となる大ヒットとなった。

沢田研二なども影響を受けていたほど、世界的な注目を集めていたが、しかし後が続かずに一瞬の流行で終わり、1982年には解散している。

ジョイ・ディヴィジョン/ラヴ・ウィル・ティアー・アス・アパート
Joy Division – Love Will Tear Us Apart

Love Will Tear Us Apart (2020 Remaster) [Analog]

英マンチェスターで結成されたジョイ・ディヴィジョンは、ポスト・パンクの代表格だった。前年発表の1stアルバムがインディ・チャートで1位となったが、この年の5月、全米ツアー出発前日にフロントマンのイアン・カーティスが自殺してしまい、短い活動期間を終えた。

このシングルは彼の遺作となり、全英13位とキャリア最高位のヒットを記録した。

「ラヴ・ウィル・ティアー・アス・アパート」の過去記事はこちら

バウハウス/ダーク・エントリーズ
Bauhaus – Dark Entries

In the Flat Field

バウハウスもまた、英国のポスト・パンク類ダーク系の代表格だ。
この曲は名盤1st『暗闇の天使』の冒頭を飾る曲だが、その激しくノイジーなサウンドと耽美的な世界観は、パンクとサイケとダークなアンダーグラウンド・ロックを合わせて創り上げたような、独自のゴシック・ロックを完成させている。

この尖った音楽はもっと評価されるべきだと思う。T.REXの「テレグラム・サム」のカバーなどを聴くと彼らが実力とセンスが本物であることがよくわかる。

「バウハウス/テレグラム・サム」の過去記事はこちら

ウルトラヴォックス/ヴィエナ
Ultravox – Vienna

Vienna

英ロンドン出身のウルトラヴォックスは、ポスト・ロック類ニュー・ロマンティック目エレクトリック・ポップ科の先駆者として知られ、ジャーマン・ロックの影響も受けているバンドだ。

77年にデビューしたものの当初は売れなかったが、4枚目のアルバム『ヴィエナ』のこのタイトル曲が全英2位となり、世界的に知られるようになった。

「ヴィエナ」の過去記事はこちら

ピーター・ガブリエル/ゲームス・ウィズアウト・フロンティアーズ
Peter Gabriel – Games Without Frontiers

Peter Gabriel 3 (Remastered)

初の全英1位となった3rdアルバム『ピーター・ガブリエルⅢ』からのシングルで、全英4位のヒットとなった。ジェネシス在籍時もシングル・ヒットが無かったピーガブにとっての、初めてのヒット曲だった。

電子楽器を取り入れながら、テクノでもプログレでもなく、逆に原始的な野生の香りもするワールドミュージック風の、独自の深い魅力を持つ新たなスタイルの音楽で成功への道を切り拓いた。

「ゲームス・ウィズアウト・フロンティアーズ」の過去記事はこちら

AC/DC/地獄の鐘の音
AC/DC – Hells Bells

Back In Black

AC/DCはアンガス・ヤングとマルコム・ヤングの兄弟を中心とした、オーストラリア出身のバンドだ。そのプリミティヴなバカっぽさ(もちろん誉め言葉だ)が彼らの最大の魅力であり、あの兄弟が奏でるギター・リフとグルーヴはとにかくケツがムズムズしてくるぐらいカッコいい。

この曲が収録されたアルバム『バック・イン・ブラック』は全世界で5千万枚以上を売り上げ、この地球上で売れたレコードとしては、マイケル・ジャクソンの『スリラー』に次いで第2位なんだそうだ。

「地獄の鐘の音」の過去記事はこちら

モーターヘッド/エース・オブ・スペーズ
Motörhead – Ace of Spades

Ace of Spades [Explicit]

その素行の悪さで『極悪レミー』というタイトルのドキュメンタリー映画まで作られたレミー・キルミスターを中心にロンドンで結成したバンド、モーターヘッドの5thアルバム『エース・オブ・スペーズ』のタイトル曲。

ガレージ・ロックとハードコア・パンクとスラッシュ・メタルの要素を併せ持つ、ガチ中のガチであり、ハードコア・ロックとも言える彼らのこのアルバムは、なんと全英4位というヒットを記録した。やはりいつの時代もロック・キッズたちはこういう刺激的でどストレートなロックを求めているのだ。

オジー・オズボーン/クレイジー・トレイン
Ozzy Osbourne – Crazy Train

Blizzard of Ozz-Coloured- [12 inch Analog]

オジー・オズボーンはブラック・サバスの中心人物としてヘヴィメタルの源流を作った人物だったが、アルコール依存の問題で1977年にバンドを解雇された。

ソロ・デビュー作となったのがこの曲を収録した『ブリザード・オブ・オズ〜血塗られた英雄伝説』だった。
ランディ・ローズのギターは革新的な演奏で80年代メタルのお手本となり、ビートルズの大ファンというオジーのメロディアスなソング・ライティングと融合して新しいヘヴィメタルを創造した。

「クレイジー・トレイン」の過去記事はこちら

アイアン・メイデン/ランニング・フリー
Iron Maiden – Running Free

鋼鉄の処女(ザ・スタジオ・コレクション・リマスタード)

英ロンドン出身のアイアン・メイデンは、70年代ハード・ロックとは明らかに異質な、パンクの影響も受けたヘヴィメタルとして、「NWOBHM」(New Wave Of British Heavy Metal)の代表格となって80年代に隆盛したメタルシーンを牽引した。

現在も活動中の、世界で最も有名なヘヴィメタル・バンドだ。

ジョン・レノン/ウーマン
John Lennon – Woman

Double Fantasy

この年に発表されたジョン・レノンとオノ・ヨーコによるアルバム『ダブル・ファンタジー』収録曲で、ジョンが糞ウジ虫野郎の凶弾に斃れて世を去った翌月にリリースされたシングルだ。

全英1位、全米2位の大ヒットとなった。日本でもCMやTV番組でよく使われる曲だ。

選んだ10曲がぶっ続けで聴けるYouTubeのプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

♪YouTubeプレイリスト⇒ ヒストリー・オブ・ロック 1980【ニューウェイヴとメタルとひとつの時代の死】Greatest 10 Songs

また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。
apple musicをご利用の方はこちらのリンクからプレイリストにジャンプできます。

ヒストリー・オブ・ロック 1980【ニューウェイヴとメタルとひとつの時代の死】Greatest 10 Songs(goromusic.com)

ぜひお楽しみください。

(by goro)