完食必至の極旨アメリカン・ハード・ロック! マウンテン『勝利への登攀』(1970)【食わず嫌いロック】#16

勝利への登攀(期間生産限定盤)

Mountain
Climbing! (1970)

往年の名レスラー。アンドレ・ザ・ジャイアントのような見た目の巨漢レスリー・ウエスト(Vo&G)率いるニューヨーク出身の3ピースバンド、マウンテンの1stアルバム『勝利への登攀』(1970) を聴いてみた。ちなみに「しょうりへのとうはん」と読む。

マウンテンは、グランド・ファンクと並ぶアメリカン・ハード・ロック草創期の大師匠である。
アルバム冒頭を飾るのは彼らの代表曲で永遠のロック・アンセム「ミシシッピ・クイーン」だ。

まあ何しろこの曲はカッコいい。わたしも大好きだ。でもアルバムまでは聴いていなかった。

「Mississippi Queen」や、リフがかっこいい「Never in My Life」「Sittin’ on a Rainbow」のようないかにもマウンテンのイメージにぴったりの豪快なハード・ナンバーはもちろん素晴らしいが、フォーク・ロックをハード・ロックに進化させたような、思わず歌メロを口ずさみたくなる「Silver Paper」や「For Yasgur’s Farm」などもあるのは嬉しい発見だ。哀愁のラストナンバー「Boys in the Band」もいい。

なんとなくだが、イギリス産の、ブルースをベースにしたクールなハード・ロックを醤油ラーメンに例えると、こちらは濃厚でパンチがありコクが後を引く、ニンニク味噌バターラーメンといった感じだ。かといってしつこさや暑苦しさはなく、むしろ爽快な後味で満足度が高い。肉体労働者のわたしはついつい後者の方に惹かれてしまうのだ。

9曲32分、隅から隅まで味わい尽くせる完食必至の極旨アメリカン・ハード・ロック・アルバムである。

(Goro)

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