ディープ・パープル『ライヴ・イン・ジャパン』(1972)【食わず嫌いロック】#7

ライヴ・イン・ジャパン DELUXE EDITION

Deep Purple

“Made in Japan” (1972)

『マシン・ヘッド』の食わず嫌いが克服できたので、次はディープ・パープルのもうひとつの名盤として名高い『ライヴ・イン・ジャパン』を、家族の留守を狙って爆音で聴いてみる。

いきなり「ハイウェイ・スター」の圧巻の爆演にのけぞった。これはとんでもないものが始まったぞ、と思いながら聴き進める。

2曲目の「チャイルド・イン・タイム」がまたどえらい猛演だ。とんでもなく複雑な仕事を各々がこなしながらも猛然と疾走するバンドの一体感みたいなものが凄い。

ここしばらくストーンズのラフでルーズでテキトーなライヴ盤ばっかり聴いていたので、なんだかもう異次元の世界である。ロックバンドってこんなにちゃんと演奏するものなんだと、変な感心をしてしまう。

「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のイントロに手拍子が起こるところなどいかにも昭和の日本のコンサートという感じで微笑ましいが、曲が進むにつれそんな微笑ましいムードもぶっ殺されていく、これまた凄演だ。スタジオ・アルバムよりも、ライヴでこそ本領を発揮するバンドなんだな。

「ミュール」も始まり方が超カッコいいので、オッと期待したが、しかし中盤に差し掛かったところで、ドラムソロが始まった。これはいけない。しかもなかなか終わらない。時折観客からなんのつもりか拍手が湧く。
その次の曲のギターとヴォーカルの掛け合い祭りみたいなものもそうだし、またその次にはキーボードに出番が回ってきたときもそうだけど、昔のライヴではこういう名人芸みたいなものを披露すると拍手が湧いたりして盛り上がったものなのだろう。

インタープレイというのか、こういう即興的な部分こそ音楽的と感じる人もいれば、そうは感じないわたしのようなものもいる。だからジャズが聴けないんだろうな、わたしは。

ただし、最近やっと顔も覚えたブラックモアさんのギターはずっと音楽的だったけれども。

とまあちょっとだけケチをつけてしまったけれども、そんな気持ちも最後の「スペース・トラッキン」の緊張感みなぎる凄絶な狂演を聴く頃には吹き飛んでしまい、史上最高のライヴ盤と評されるのもあながち間違いではないなと納得してしまう。

最後の演奏が終わってから拍手が始まるまでの、日本の観客が茫然自失としているかのような長い長い間がまたいい感じだ。

(Goro)