工場機械のように金属的でクールなサウンド、ジューダス・プリースト『ブリティッシュ・スティール』(1980)【食わず嫌いロック】#25

ブリティッシュ・スティール(期間生産限定盤)

Judas Priest
“British Steel” (1980)

これぞヘヴィメタル、というサウンドだ。

70年代にもヘヴィメタルと呼ばれるバンドはいたが、わたしにとってのヘヴィメタルとはこういう音のイメージだ。

英バーミンガム出身のヘヴィメタル・バンド、ジューダス・プリーストの6作目のアルバム『ブリティッシュ・スティール』(1980)を聴いてみた。

同時に、初期の傑作と呼ばれる4作目『ステンド・クラス』(1978) も聴いたのだけれど、こちらはわたしはダメだった。しかしその後の2年間で急速な進化を遂げている。

本作はギターの音からはっきり違う。アルバムのタイトルはメンバーが務めていた製鉄所の名前だそうだが、研ぎ澄まされた金属的な響きで繰り返されるキレのいいリフを中心にした楽曲は、まさに工場の機械のように非感情的で冷徹な印象だ。それがなかなかクールでわたしは気に入った。ヴォーカルも4作目の頃より抑え気味になって、聴きやすくなった。

70年代のハード・ロックとは明らかに一線を画すような、新しい時代の新鮮な音という感じがする。新しい時代、なんて言ってももう40年以上前の話だが。

アルバムは全英4位、全米34位と、彼らにとってのブレイク作となった。

後に彼らの愛称にもなった代表曲”Metal Gods”や、明るくキャッチーな曲調で全英12位となったシングル”Living After Midnight”も良いが、わたしがアルバム中で最も気に入っているのは、こちらも全英12位のヒットとなった”Breaking the Law”だ。

若い頃からの食わず嫌いで、ヘヴィメタルともあまりご縁がなかったため、あまり多くを語ることもできないが、こういうクールなサウンドもあるのだなと好印象を持った。

(Goro)