Highway To Hell (1979)
ハード・ロック食わず嫌いのわたしが例外的に、ブラック・サバスと並んで好感を持っていたハード・ロック・バンドがこのAC/DCだ。
最も有名な彼らのアルバム『バック・イン・ブラック』(1980) は、ちゃんとCDを持っていたぐらいだ。あのケモノのような声はやっぱりちょっと苦手だったが、好きな曲は何曲かあった。でもあのアルバムしか聴いたことはなかった。
今回はそのひとつ前のアルバム『地獄のハイウェイ』(1979) を聴いてみた。
おいおい、最高だな。
凄く気に入った。
『バック・イン・ブラック』よりもわたしはこっちの方が好きかもしれない。重苦しいハード・ロックではなく、ラウドでエッジも立ちながら、キャッチーで滅法楽しい、ハード・ロックンロール・アルバムという感じだ。
それにわたしはこのボン・スコットのヴォーカルの方がどちらかというと好みだ。ブライアン・ジョンソンには申し訳ないけれども。
しかしなんといってもAC/DCの魅力はヤング兄弟のギターが繰り出す極めてシンプルなリフを延々と繰り返すスタイルだ。
そこらで拾ってきた石ぐらいの一見なんの面白みもなさそうな短いリフを、アンガス・ヤングが口を半開きにして足を踏み踏みしながらなんとかのひとつ覚えみたいに延々と繰り返すだけでいつの間にか最高のハード・ロック・ナンバーが生まれてくる。まるで全自動ハード・ロック製造機のようだ。材料はその辺の石ころと水にほんの少しの獣のアブラだけ。数分転がせば、熱々のハード・ロックンロールが出来上がる。
最高のエンジンを積んだ4WDのような、バンドのグルーヴ感がまたいい。そして思想がなさそうなのもいい。
このアルバムもまた、ロック史に残る最高に熱い名盤のひとつだ。
(Goro)