ブリンズリー・シュウォーツ「メリー・ゴー・ラウンド」(1972)

シルヴァー・ピストル

【70年代ロックの快楽】
Brinsley Schwarz – merry go round

1970年にデビューしたイギリスのバンド、ブリンズリー・シュウォーツは、後にソロ・アーティストとして有名になるニック・ロウやイアン・ゴムが在籍したバンドだ。
活動期間は約5年。注目はされていたが、あまり売れなかったようだ。

この曲は彼らの3rdアルバム『シルバー・ピストル』に収録されている。この名盤はまるでザ・バンドを思わせるアルバムだが、それでもどこかイギリス的なメロディなども持ち合わせている。

スタジオではなく、一軒家を借り切って8トラックで録音しているのもザ・バンドへの憧れなのかもしれないが、そのリラックスした雰囲気がまたいい。
同じくアメリカ南部の音楽に大きな影響を受けたローリング・ストーンズもこの同じ年に『メイン・ストリートのならず者』をやはり一軒家でリラックスした雰囲気で録音しているのは偶然ではなく、単に目指すところが同じだったからなのかもしれない。

どちらのアルバムも、時に雑音が入ったり、録音レベルが不安定だったり、演奏がユルかったり、というところがあるにも関わらず、そんな「いま出来たばかり」みたいな空気がいつ聴いても新鮮で、その場にいるような親近感や緊張感などを含む空気感も感じられるのが、きっと良いのだろうと思う。
どちらも、死ぬまで聴き続けられる名盤だ。

しまった。
名盤100選にこのアルバムを選ばなかったのは痛恨のミスだった。
あれやこれや、いま思うとあまり大したことのないアルバムも選んでいるくせに、これを漏らしているなんて。
なんておバカさん。

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