サディスティック・ミカ・バンド/タイムマシンにお願い(1974)

黒船

【ニッポンの名曲】#23
作詞:松山猛 作曲:加藤和彦

フォーク・クルセダーズのリーダーとしてデビューした加藤和彦が、パフォーマーとして、コンポーザーとして、そしてプロデューサーとして、日本のフォーク&ロックの礎を築いた最重要人物であり、わたしは心からリスペクトしているということは、9年前に彼への追悼記事で書いた。

この曲はその加藤和彦が1972年に結成した、サディスティック・ミカ・バンドの代表曲だ。

ヴォーカルは加藤和彦と当時の妻のミカ、ギターは高中正義、ベースが小原礼、ドラムスが高橋幸宏という、スーパーバンドのような布陣である。

1972年で、ヴォーカルが女性のロックバンドなんて、まだ英米でもほとんどいない時代のことだ。ジェファーソン・エアプレインぐらいしか思いつかない。

それがいきなりグラム・ロックのようなイギリス的なサウンドに乗せて、ニューウェイヴを先取りしたようなヴォーカルスタイルで歌ったこの曲は日本ではもちろん、世界的に見ても超画期的だった。

イギリスではT.レックスやロキシー・ミュージックあたりが出てきたころである。
もしかすると、英米のロックに日本のロックが追いついた奇跡の瞬間だったのかもしれない。

日本のロック史においても、これほどクールなロックナンバーはそんなに多くはないと思う。わたしにとっては十指に入る名曲だ。

この曲が収録された2ndアルバム『黒船』は、アルバムの半分を加藤和彦が、もう半分をクリス・トーマスがプロデュースしている。

クリス・トーマスとは、その3年後にセックス・ピストルズの『勝手にしやがれ』をプロデュースしたことで歴史に名を残したあのプロデューサーである。

しかしクリス・トーマスは加藤和彦の妻であるミカとデキてしまい、加藤夫妻は離婚、バンドも解散させるという罪なヤツだった。

日本のロック史を塗り替えたサディスティック・ミカ・バンドを崩壊させたのがイギリス人の黒船のせいだったというのも皮肉な話だ。なんつって。

記事を書いた人(Goro)

愛知県在住。中学卒業後、無知蒙昧のまま社会にさ迷い出て、底辺職を転々した後、地元の映画館に拾われる。映画館に10年勤めた後、レンタルビデオチェーンのバイヤーを20年勤め、現在は再び底辺職で肉体労働の日々に返り咲く。心に平安が訪れている。生活に不満はなし。音楽にはいろいろと救われている。「映画は映画館で観なきゃダメ派」ではない。

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