Mr.Children/innocent world(1994)

Atomic Heart

【ニッポンの名曲】#50
作詞・作曲:桜井和寿 編曲:小林武史& Mr.Children

ミスチル初のオリコンチャート1位となり、1994年度の年間チャートでも1位、そしてレコード大賞まで受賞した、大ヒット曲だ。

久々に骨のある日本のバンドが現れたらしい、などと話題騒然という感じだったけれど、当時28歳で英米のオルタナティヴ・ロックばかり聴いていたわたしには、この光り輝くようなポジティヴな音楽が眩しすぎた。

なにしろわたしは、当時の最愛の心の友であったカート・コバーン君を失くして2カ月しか経っていない。英米のロック・シーンにはこんな希望に満ちた世界観は当時無かったように思う。

わたしの知らないあいだに、日本のロックは、洋楽のロック・シーンとはまったく関係のない、日本だけのオリジナルなものへと進化を遂げていたようなのだった。

小田和正MCの番組『クリスマスの約束』に桜井和寿が出演したときだったと思うけれど、小田の「どんな音楽を聴いてきた?」という質問に桜井は、「洋楽はほとんど聴いていない、影響を受けたのは日本のロックやポップスだけです」と答えていたのがものすごく印象的だった。わたしは、ほとんど驚愕した。

小田和正も桑田佳祐も、矢沢や拓郎や陽水も、洋楽をお手本にしてなんとか日本語のロックやポップスが出来ないかと悪戦苦闘してきた世代だった。
だけどもはや桜井たちの世代はそんな悪戦苦闘から解き放たれ、日本の素晴らしいロック・ポップスの歴史の中で育ち、吸収・消化してさらに進化・深化した日本語のロックを生み出していったのだ。

日本のロックの歴史がどんどん出来ていくんだなあ、と思ったものだ。