タミー・ワイネット/スタンド・バイ・ユア・マン(1968)

Stand By Your Man (Exp)

【カントリー・ロックの快楽】
Tammy Wynette – Stand By Your Man

パッツィー・クライン亡き後、カントリーの女王の座を継いだのが、このタミー・ワイネットだった。

この「スタンド・バイ・ユア・マン」はタミー・ワイネットの最大のヒット曲であるだけでなく、カントリー・ソングのオールタイム・ベスト企画では「クレイジー」などと共に必ずトップを争う、カントリー史上最も愛されたナンバーのひとつである。

「あなたの男を支えなさい、男というのは女には理解しがたいこともするけれど、それでも彼を愛するなら、彼を誇りに思いなさい。孤独な寒い夜には暖めてあげなさい。あなたの愛のすべてを捧げなさい」と歌う、もう男としては感動で涙がちょちょぎれるような歌である。それほどまでに想うのなら、おっしゃー、頑張ってバリバリ働いて、一生この女を幸せにしてやろう、てなもんである。男というのは競走馬と大差ないぐらいシンプルな生き物なのだ。

男を支えることに人生を捧げるような女などというものは、封建的社会の古い日本女性のように例えられ、小さな日本人を見下している外国人やオレがオレがのフェミニストから否定的に語られるのが常だが、この「スタンド・バイ・ユア・マン」が支持されるということは、アメリカ人だって同じようなものなのだろうし、アメリカ人じゃなくても、お国や人種に関係なく、そんな生き方に人生のすべてを捧げたいと考える女性は多いに違いない。もちろん、そうでない女性もお国や人種に関係なくいると思うが。

タミー・ワイネットの、実にいい具合にかすれる力強いハスキー・ボイスで歌われると、この歌はさらに説得力を増す。カッスカスの声のスナックのママさんが、なんとなく人一倍辛酸を舐めた人生経験豊富な女性に見えるのと共通したものがあるのかもしれない。

タミー・ワイネットは1966年にデビューし、23曲ものナンバーワン・ヒットを世に送り出した。1969年にカントリー界のレジェンド、ジョージ・ジョーンズと結婚し、6年後に離婚した。
1998年、ナッシュヴィルの自宅で、肺の血栓症(不整脈との説もあり)により死亡した。55歳だった。

記事を書いた人(Goro)

愛知県在住。中学卒業後、無知蒙昧のまま社会にさ迷い出て、底辺職を転々した後、地元の映画館に拾われる。映画館に10年勤めた後、レンタルビデオチェーンのバイヤーを20年勤め、現在は再び底辺職で肉体労働の日々に返り咲く。心に平安が訪れている。生活に不満はなし。音楽にはいろいろと救われている。「映画は映画館で観なきゃダメ派」ではない。

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