ザ・ビートルズ/ヘルプ!(1965)

HELP!-STEREO REMASTERE

【60年代ロックの快楽】
The Beatles – Help!

この前月にローリング・ストーンズの「サティスファクション」が発表され、3か月後にザ・フーの「マイ・ジェネレーション」が発表される。ロックは「愛だの恋だの」の段階から、若者たちが感じる状況への違和感やフラストレーションを自分の言葉で歌い始める段階に入ったのだ。
ビートルズにとっては、それがこの曲だったのだろう。それまでのビートルズ・ナンバーを一気に超えて、新たなステージに立った傑作だとわたしは思う。

人気絶頂のスーパーアイドルの4人は、「なんか思ってたのと違うんだよなあ。こんなはずじゃなかった」と、自分たちの置かれた状況に違和感を感じていたのだろう。
「助けて! 誰でもいいから!」と歌うジョンの心はもしかするとジュクジュクに病んでいたのかもしれない。
病的な歌詞に、切実なトーンのメロディー、そこにポップなコーラスと軽快なビートに乗せた、なかなか変態チックな曲だと思う。

さらにそれを『ヘルプ! 4人はアイドル』という本気なのか皮肉なのかよくわからないタイトルの、ドタバタコメディ映画のテーマにするという、もうビートルズはいったいなにをしたいのか、わけがわからない状況だ。もちろん、いちばんわけがわからなかったのは本人たちなのだろうけど。

この映像を見ても、相変らずアイドルチックな演出で歌っているけれど、表情はすっかり素に戻っているのがわかる。特にリンゴはもう完全オフになっていて笑える。

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