《M-1グランプリ》歴代漫才ネタ ベストテン!!【2020年更新版】

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2001年に始まった『M-1グランプリ』は、単なるお笑いのコンテストにとどまらず、ここで優勝して一気にブレイクし、人生を変えることを目標にした若手漫才師たちが本気でしのぎを削る夢の舞台となり、ネタの完成度は高度化し、新たな漫才のスタイルも次々と発明されることで、ニッポンのお笑いは急速に進化・深化を遂げました。

現在の、世界に誇るお笑い大国ニッポンへのM-1グランプリの功績は計り知れません。

わたしは第1回からすべてリアルタイムで見ていますが、ここでは過去16回の『M-1グランプリ』の決勝大会で披露されたすべてのネタから、最も面白いネタのベストテンを選んでみました(漫才コンビ1組につき、1ネタのみとする)。

以下はそのベストテンになります。

第10位 チュートリアル「チリンチリン」(2006)

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『M-1グランプリ2006』で優勝したチュートリアルが、最終決戦で披露した伝説のネタ。

自転車のベル「チリンチリン」が盗まれたという福田の些細なひと言から、まるで一大事のように「チリンチリン」への想いを拡げていく徳井の偏執的な異常性は、その「ハンサム」な見た目とのギャップもあり、異次元の爆笑を誘いました。
福田はツッコミというより、気味悪そうに終始困惑している、というスタイルもまた面白かった。

最終決戦の投票では7人の審査員全員がチュートリアルに投票するという、史上初のパーフェクト優勝は、見ていたわれわれも文句なしの大会でした。

第9位 スリムクラブ「人違い」(2010)

『M-1グランプリ2010』にまったく無名の存在として登場し、それまでのM-1の常識を覆す、超スロー・テンポで、独特のワード・センスと世界観の漫才を披露したスリムクラブの1本目のネタ。

松本人志がめずらしく96点という高得点を付け、「時間が惜しくないのかな?」とコメントした、ボケ数はたったの7個という挑戦的なネタでした。

ひとつ間違えば大スベリしてもおかしくないネタでしたが、あの大舞台で真栄田と内間がじっと無言で見つめ合っている長い長い間に、観客の笑いがどんどん大きくなっていくのが印象的でした。

最終決戦でも同じスタイル(またしてもボケ数7個)で爆笑を獲りましたが、わずか1票差で笑い飯に敗れ、惜しくも準優勝となりました。

第8位 笑い飯「鳥人」(2009)

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「鳥人」は、お笑いファンなら誰もが知る、『M-1グランプリ2009』で披露した伝説のネタ。

第2回から第10回まで9年連続で決勝に進出した笑い飯は、「Wボケ」という、ボケとツッコミを交互に交代する斬新なスタイルを発明しました。

この頃になると、哲夫が最初にボケを言い出すと、それに西田がツッコんだ後で「だいたいわかったからやらしてくれ、それ」とボケが交代するところで客席から、待ってましたとばかりに拍手が起こるようになっていました。笑い飯の漫才は、まるで年末の風物詩のようでした。

この鳥人のネタでは、鳥と人間が融合した生き物が子供の前に現れるという異様にブッ飛んだ世界観を披露し、初め呆気に取られていた審査員と観客が徐々にハマって笑いが止められなくなっている状態が画面からも伝わってきました。
松本人志はネタの間中爆笑し続け、島田紳助は、M-1史上唯一となる「100点」を付けました。

668点というこの日の最高得点で最終決戦に進んだものの、2本目の「チンポジ」ネタが大スベリし、惜しくも優勝は逃してしまった(優勝はパンクブーブー)。このチンポジスベりも、お笑いファンなら誰もが知る伝説となっています。

そして翌年の『M-1グランプリ2010』では、9回目の決勝進出でついに念願の優勝を果たしました。
このときも「鳥人」テイストのネタ「サンタウロス」を披露して大ウケ、前年とまったく同じ668点を獲得しました。
どちらのネタも面白いけれど、やはり最初のインパクトが凄かったので、「鳥人」のほうを選びました。

第7位 アンタッチャブル 両親への挨拶(2004)

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『M-1グランプリ2004』で、673点というM-1歴代最高得点を叩き出した1本目のネタ。

当時はフザけ続けているザキヤマよりも、関東芸人らしからぬ圧でツッコむ柴田の上手さが目立ち、審査員の島田洋七も「メガネかけた君、上手いね」と絶賛しました。
でも、今あらためて見返すとザキヤマのフザけたボケがいかに天才的かもよくわかります。

最終決戦も審査員7名中6票を獲得し、あの南海キャンディーズを抑えて余裕の優勝を果たしました。
尚、現時点までに、関東出身でM-1優勝を果たしたのは、このアンタッチャブルとトレンディエンジェルの2組のみとなっています。

先日、コンビ復活を果たして10年ぶりの漫才を披露し、大いに話題になったアンタッチャブルですが、関東一のボケと関東一のツッコミが組んだモンスター・コンビはやっぱり凄いとあらためて思ったものです。

第6位 和牛「旅館の仲居さん」(2017)

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和牛はどのネタを選ぶべきか、迷いに迷いました。

2016年に披露した「ドライブ」と「夏祭り」もよく出来たネタで、どちらも爆笑しました。わたしはもうてっきり和牛の優勝かと思ったぐらいでした。

しかし2017年の「ウエディングプランナー」と「旅館の仲居さん」はどちらもさらに作り込まれ、伏線と回収で2周分笑わせてくれる、凄いレベルのネタでした。

特にツッコミの川西の成長が著しく、ずっと仲居さんをやったままでツッコミをしていくという高難度の役で、すっかりネタの主役が川西になっていました。
間をほとんど取らない「0秒ツッコミ」の面白さも堪能できます。

上記4つのどのネタを選んでもいいぐらいでしたが、あの仲居さんが特に好きなので、このネタを選びました。

第5位 ジャルジャル「雷坊主の添い寝節」(2015)

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一度休止して、5年ぶりに復活した大会、『M-1グランプリ2015』で披露したジャルジャルの1本目のネタ。

Wボケのスタイルで、変な言葉を繰り返す小ボケや、伏線となる大きな笑いを取るボケをバランス良く配合してマシンガンのように連発し続ける、まったく新しいスタイルの、高難度の漫才に驚かされました。

わたしはあまりの面白さに、その後も何度も録画した映像を見返したほどでした。

834点という最高得点で最終決戦に進んだものの、同じスタイルのもうひとつのネタは1本目のインパクトを超えられなかったせいか、結果は3位。

普段はコントをしている2人だからこそ、見たこともない独特の漫才スタイルが生まれたのだと思いますが、審査員によってはその独特さが「これは漫才ではない」と感じたのかもしれません。

わたしの中では圧倒的に優勝でしたけどねえ。

第4位 サンドウィッチマン「街頭アンケート」(2007)

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『M-1グランプリ2007』の、サンドウィッチマンの登場は衝撃的でした。

彼らがまったくの無名であっことはもちろん、事務所のグレープカンパニーも当時はまったく知られていない存在であり、まさに「どこの馬の骨ともわからない」、見た目もガラの悪いコンビが敗者復活から1位通過し、一気に優勝してしまい、一夜にして大ブレイクを果たしました。

ここでは1本目のネタを選びましたが、2本目の優勝ネタ「ピザ屋の配達」も甲乙つけがたい面白さでした。

富澤の書くネタの面白さもさることながら、短いシンプルなワードで確実に笑いを取る伊達のツッコミの巧さ、面白さは、画期的でした。
これほどの逸材がなぜ「敗者」となっていたのかということでも、M-1の選考の仕方に疑問の声が上がったほどでした。

第3位 ミルクボーイ「コーンフレーク」(2019)

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結成12年で初の決勝進出となったミルクボーイは、わたしも含めて視聴者のほとんどの方がこのとき初めて見ることになったコンビでした。

「コーンフレーク」という誰もが知ってるけどそこまで日常の主役ではない絶妙な食品を、単なるあるあるネタではなく、意外な角度からの切り口でイジり倒す漫才は、新鮮なシステムと伝統的な大阪しゃべくり漫才の両方の魅力が合わさって、会場も審査員もそしてテレビの前のわれわれも、爆笑の連続でした。

松本人志は「これぞ漫才っていうのを久しぶりに見してもうた」と絶賛し、M-1史上歴代1位となる681点を叩き出して、2019年のM-1王者となりました。

第2位 かまいたち「UFJとUSJ」(2019)

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そもそも歴代1位の得点となったミルクボーイの「コーンフレーク」を超えるネタなどないはずですし、実際ミルクボーイに優勝をさらわれたかまいたちですが、ごめんなさい、これはわたしの好みの問題なんだろうと思います。

『M-1グランプリ 2019』は録画して何度か見直し、ミルクボーイとかまいたちだけはもう10回以上見たと思いますが、何度見ても飽きずに笑えるのはかまいたちのこの「UFJとUSJ」の漫才でした。

4分間の漫才のあいだムダなセリフや面白くない瞬間が一瞬も存在しない、磨き上げ研ぎ澄まされたネタ、コントで培った演技力と絶妙な間、もうこれ以上は無いと思えるほどの凄い漫才だと思います。

何度見ても笑える、芸術的とも言えるほどの完成度は、M-1史上でも最高クラスの漫才だったと思います。

第1位 ブラックマヨネーズ「格闘技を習いたい」(2005)

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それまで、わたしにとって一番面白い漫才は初期のダウンタウンの漫才でしたが、この日のブラックマヨネーズの漫才は初めてそれに肩を並べたものを見たと思い、感動さえしました。

吉田のなにげない相談に小杉が応えてなにかを奨めるけれども、心配性の吉田は「でもなあ…」とそのデメリットを挙げはじめる。小杉がそれに対してさらに解決策を提案するものの、吉田はさらに心配な点を挙げる。

これの繰り返しがどんどんエスカレートして、感情的になってボルテージが上がって行く2人の言い合いがとにかく面白い。
後半になるにつれどんどん盛り上がり、会場が笑いで揺れているようでした。

以上、M-1グランプリの歴代ネタ・ベストテンでした。

お笑いの好みなんて十人十色なので、それぞれのランキングがあるかと思いますが、共感していただける部分が少しでもあれば嬉しいです。

毎年のことではあるけれど、今年はどんな王者が生まれるのか、どんな新しいお笑いを生み出してくれるのか、楽しみでなりません。

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