エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ/ピース、ラヴ・アンド・アンダースタンディング(1978)

Armed Forces (Dig) (Spkg)
【カバーの快楽】
Elvis Costello – (What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love And Understanding

エルヴィス・コステロの3rdアルバム『アームド・フォーセス(Armed Forces)』の米国版に収録された、ブリンズリー・シュウォーツの代表曲のカバーだ。

ニック・ロウが書いた曲で、ブリンズリーの6枚目のアルバム『ニュー・フェイヴァリッツ・オブ・ブリンズリー・シュウォーツ(The New Favourites of… Brinsley Schwarz)』からのシングル。プロデュースはデイヴ・エドモンズである。

ここで、ブリンズリー・シュウォーツ、ニック・ロウ、デイヴ・エドモンズ、エルヴィス・コステロという、英国パブ・ロックを代表する名前がズラリと並ぶのも壮観だが、この曲はブリンズリー・シュウォーツの代表曲として知られ、パブ・ロックの代表曲のひとつでもある。

ソロになってからニック・ロウも再録音し、後に世界中で1,700万枚も売れた映画『ボディガード』のサントラにCurtis Stigersによるカバーが収録されたりもして、ブリンズリーと言えばこの曲、ニック・ロウと言えばこの曲というふうにイメージも定着しているようだが、正直言うとわたしにはあんまりピンと来なかった曲だ。

わたしにとってのブリンズリー・シュウォーツは、2ndや3rdのカントリー・ロックのイメージが強かったので、この曲はあまりにもポップで路線が違いすぎ、困惑したのだ。そのうえ、なんだかシャカシャカした五月蠅いサウンドがあんまり好きになれなかった。

やっぱり、まったくヒットも出ずに6枚目ともなると、ニック・ロウも目指す方向性が変わってきたのだろう。この74年のアルバムを最後にブリンズリー・シュウォーツは解散し、ニック・ロウはソロに転向してこのポップ路線をさらに推し進めていった。

その後、このコステロのバージョンを聴いてだいぶこの曲の良さもわかった。
コステロによく合ってるし、ブリンズリーには申し訳ないけれど、こっちのほうがわたしには声もサウンドもしっくり来たのだ。

↓ ブリンズリー・シュウォーツのオリジナル。