ニール・ヤング/バッファロー・スプリングフィールド・アゲイン(2000)

Silver & Gold

【21世紀ロックの快楽】
Neil Young – Buffalo Springfield Again

バッファロー・スプリングフィールドは、かつてニール・ヤングが在籍したバンドだ。1966年にロスアンゼルスで結成され、3枚のアルバムを残して68年に解散した

他のメンバーに、スティーブン・スティルス(後にクロスビー、スティルス&ナッシュを結成)、リッチー・フューレイ(後にポコを結成)などが在籍し、活動期間はわずか2年半ながら、その新しい音楽スタイルでアメリカン・ロック草創期にその可能性を大きく切り拓いた伝説的なスーパー・グループとして知られている。日本初の本格的なロックバンドのひとつ、はっぴいえんどなども大きな影響を受けたそうだ。

しかしバンド内の人間関係が最悪だったのは有名で、特にスティルスとヤングはどちらも主導権を取りたがり、結局はその不和のせいでバンドは崩壊し、早々と解散してしまう。

なのに、2年もするとクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングとしてまた同じグループで2人は活動する。

そしてまたしてもスティルスとヤングの不和が原因でバンドは消滅してしまう。アルバム・タイトルの『デジャ・ヴ』というのはこのことだったのかもしれない。

さらに、それでも懲りずに5年後には今度は2人でスティルス&ヤング・バンドとしてアルバムを出すのだからもうこの2人はどういう関係なのかよくわからない。こういうのを腐れ縁と言うのだろうか。

この曲は、そんなニール・ヤングがバッファロー解散から32年後の2000年にリリースしたアルバム『シルヴァー・アンド・ゴールド(Silver and Gold)』に収録した曲だ。タイトルはバッファローの2ndアルバ『バッファロー・スプリングフィールド・アゲイン』とまったく同じでもある。

しかも単に昔を懐かしんでいるというより、本気でもう一度再結成しようと呼びかけているようなトーンなのがすごい。

昔、あるロックンロール・バンドでプレイした
でもバンドは解散した
僕たちは若く、自由で、楽しみ尽くした
誰が正しいとか悪いとかはもうどうでもいい

もう一度彼らに会ってみたい
僕らの演奏でまたみんなを興奮させたい
これまで培ってきたものを披露することもできるけど
それより、あの頃のようにただ楽しむために演奏したい
バッファロー・スプリングフィールドを、もう一度

(written by Neil Young)

ニール・ヤングの声で「Buffalo Springfield Again」と歌われるのを聴いた瞬間にゾクッと鳥肌が立つような感動を覚えたものだ。

下の動画はアルバムを発表する前に歌ったときの映像だが、やはり観客が思わず歌の途中で拍手と歓声を上げるのが聞き取れる。この弾き語りライヴがまたカッコいい。

もちろん、この再結成は実現しなかった。
みんなもう大人なのだ。それがまたどんな結末を辿るか、想像がついたに違いない。
ヤングさん以外は。

そして余談ながら、元RCサクセションの仲井戸麗市も同様に、ラジオでこの曲を聴いて感動した、と語っている。

そして彼はかつてRCサクセションで苦楽を共にした、忌野清志郎のことを思い浮かべ、彼の声で「RCサクセション」という言葉の入った歌詞を歌っているのを聴いてみたいと思い、ソロで活動していた清志郎と共作したのが、清志郎の生前最後のアルバム『夢助』に収録されている「激しい雨」だ。

oh 何度でも夢を見させてやる
oh この世界が平和だった頃のこと
RCサクセションがきこえる
RCサクセションが流れてる

(作詞・作曲:忌野清志郎&仲井戸麗市)

これまた同じように感動したわたし。
あの二人が一緒にこの曲を書いている光景を想像するだけで、なんだか涙が込み上げてくるわたし。

昨日が清志郎の命日でした。

Visited 90 times, 1 visit(s) today