はじめてのストレイ・キャッツ【必聴名曲5選】5 STRAY CATS Songs to Listen to First

Stray Cats [12 inch Analog]

当時、中学生だったわたしは音楽雑誌の『涙のラナウェイ・ボーイ』のジャケット写真を使った広告で初めて彼らを見て、「カカ、カ、カッケー…」とシビれてしまい、下敷き代わりにしていたA4サイズの透明ケースにその切り抜きを挟んでいたものだった。

彼らの音楽を聴いたのはその後のことで、ラジオばかり聴いていたわたしはしばらくすると彼ら、ストレイ・キャッツのデビュー曲「涙のラナウェイ・ボーイ」をラジオで聴くことができ、わたしは再び「カカ、カ、カッケー…」と白目を剥いたものだった。

でも中学生のわたしは〈ロカビリー〉なんて言葉をまだ知らなかったので、彼らの音楽も当時流行の「ニュー・ウェイヴ」だと思っていた。
後になって、50年代の音楽のスタイルだと知ったが、しかしあながち間違いでもなくて、ストレイ・キャッツのロカビリーはただの懐古趣味ではなく、ちゃんと新しい耳を刺激するだけの新機軸と、熱々の生々しさを持った、新しいスタイルのロックだった。

彼らは米ニューヨーク出身のグループだったが、当時パブ・ロックやテディ・ボーイズの文化が流行していたイギリスで活動することを選び、そして思惑通りに人気を博した。
デビュー前から彼らのエネルギッシュなステージは噂が噂を呼び、ローリング・ストーンズのミックやキース、クラッシュやプリテンダーズのメンバーなども観にやって来たということでも話題になったものだった。

1981年の1stアルバム『涙のラナウェイ・ボーイ』は全英6位の好発進となり、アメリカでは翌年になって1stと2ndからチョイスした編集盤『ビルト・フォー・スピード(Built For Speed)』が本国デビュー盤となり、これも15週連続全米2位という記録的大ヒットとなった(1位になれなかったのはマイケル・ジャクソンの『スリラー』が居座っていたためだ)。
彼らはまた、〈ネオ・ロカビリー・ブーム〉と呼ばれるムーヴメントの火点け役にもなった。

ストレイ・キャッツは日本でも当時からオリコン・チャートに入るなど人気が高く、ヴォーカリストのブライアン・セッツァーのソロ・プロジェクト、ブライアン・セッツァー・オーケストラはたびたび来日し、根強い人気を維持している。

以下はわたしがお薦めする、最初に聴くべきストレイ・キャッツの至極の名曲5選です。

涙のラナウェイ・ボーイ(1980)
Runaway Boys

アルバムに先駆けてイギリスで発売されたデビュー・シングルで、全英9位のヒットとなった。キレのいいドラムとアップライト・ベースの響きがカッコいいイントロが始まった瞬間にもうシビれる。最初に好きになった思い入れも含めて、わたしの一番好きな曲だ。

ロック・タウンは恋の街(1981)
Rock This Town

1stアルバム『涙のラナウェイ・ボーイ(Stray Cats)』からの2ndシングルで、これも全英9位のヒットに。この曲はスピード感もあってさらに強烈にカッコいい。ファンの間ではいちばん人気の高い曲であり、彼らの代表曲だ。

気取りやキャット(1981)
Stray Cat Strut

名曲だらけの名盤1st『涙のラナウェイ・ボーイ』からの3rdシングルとしてリリースされ、全英11位のヒットとなった。
単純なロックンロールだけでなく、こういったひと味違うひねりのある曲があったのもストレイ・キャッツの魅力だ。ブライアン・セッツァーのギター・ソロもカッコいい。
また、わたしなどはこのコード進行からニューヨーク・パンクを象徴する名曲、リチャード・ヘルの「ブランク・ジェネレーション」を思い出す。ここでちゃんとニューヨーク出身の彼らと、ニューヨーク・パンクがつながる感じがわたしは嬉しい。

セクシー&セヴンティーン(1983)
(She’s) Sexy + 17

2ndはセールスも評価もイマイチだったが、再びプロデュースにデイヴ・エドモンズを迎えた3rdアルバム『セクシー&セヴンティーン(Rant N’ Rave With The Stray Cats)』からはこの曲が全米5位のヒットとなった。
アルバムは全米14位、日本でもオリコン34位と洋楽としては健闘していて、当時の日本での人気の高さが窺える。

ブラスト・オフ(1989)
Blast Off

1985年に解散を表明した彼らが、88年に再結成、三たびデイヴ・エドモンズ師匠をプロデュースに迎えて制作したのが通算5作目となる『ブラスト・オフ(Blast Off)』だった。
オープニングを飾るこの超カッコいいタイトル曲を聴けば、彼らの再出発への気合の凄さがわかるというものだ。アルバム全体にも疾走感のある熱い演奏が繰り広げられ、あの名盤1stに引けをとらない出来となった。

最初にストレイ・キャッツのアルバムを聴くなら、ベスト盤もいいけど、やはり1st『涙のラナウェイ・ボーイ』を薦めたい。
デイヴ・エドモンズによる素晴らしいプロデュースも相まって、最後まで耳を惹きつけて離さない充実したアルバムになっている。

選んだ5曲を続けて聴けるYouTubeプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

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また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。
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はじめてのストレイ・キャッツ【必聴名曲5選】5 STRAY CATS Songs to Listen to First (goromusic.com)

ぜひお楽しみください。

(by goro)