傑作と言いたいけれどやっぱり恥ずかしい、スコーピオンズ『狂熱の蠍団〜ヴァージン・キラー』(1976)【食わず嫌いロック】#22

狂熱の蠍団~ヴァージン・キラー(紙ジャケット仕様)

Scorpions
Virgin Killer (1977)

あれっ?と思ったオールド・ファンも多いだろうが、現在本作はこういうジャケットになっているのである。

知っている方は誰しもあのオリジナルの、素っ裸の少女のジャケを思い浮かべているだろうが、さすがにあれを現代社会で流通させるのは無理だろう。わたしもあえてオリジナルのジャケットをここに掲載しようとは思わない。エログロ大いに結構の自由主義者のわたしでも、ロリコン趣味だけはさすがに気持ちが悪い。だいたい、いくら四十数年前といっても、よくあんなジャケで発売したものだ。バカなバンドだ。

スコーピオンズはドイツ出身のバンドだ。マイケル・シェンカーとルドルフ・シェンカーという腕の立つ兄弟ギタリストを擁してデビューしたが、マイケルがUFOに移籍すると、後任にはウリ・ジョン・ロートというジミヘンかぶれのこれまた凄腕の面白いギタリストが加入した。

本作はそのウリさんが活躍する通算4枚目のアルバムで、世界的なブレイクとなった代表作だ。

どことなくB級ハード・ロック感も漂うが、当時23歳のウリさんのジミヘンばりの凄絶なギターと、哀愁を帯びた歌メロによるわかりやすい楽曲は、当時のハード・ロックにしては晦渋でも偉そうでもない、とっつきやすい印象だ。その後の80年代大衆ハード・ロックの先駆けのようにも聴こえる。

“Virgin Killer”なんて、いかにもバカなバンドが付けるようなタイトルだし、名盤とまで言うのは恥ずかしいので言わないでおくけれども、5回ぐらい聴いたところで随分と親しみが湧いてきて、密かに好感を抱いているのは告白しておこう。

(Goro)