日本の歌謡界にも影響を与えた、悲劇のバンド【日本が愛した洋楽ヒット #10】 チェイス/黒い炎 (1971)

Chase『黒い炎 GET IT ON』/1971年 EP | おじなみの日記 - 楽天ブログ

チェイス/黒い炎 (1971)
Chase – Get It On

チェイスは1971年にデビューしたアメリカのバンドで、トランペット4人を含む9人編成の大所帯だ。

この「黒い炎」は彼らのデビュー曲で、全米24位、オリコン総合チャートで10位と日本でもヒットした。1stアルバム『追跡』は全米22位、40万枚のヒットとなり、シカゴやブラッド・スウェット&ティアーズなどと共に、初期ブラス・ロックの旗手として知られることになったが、アルバムを聴くとインストの楽曲も多く、ジャズの要素も濃いバンドだ。

「黒い炎」の日本でのヒットは意外にも歌謡界に影響を及ぼし、筒美京平が作曲・編曲した欧陽菲菲の「恋の追跡」はタイトルもアレンジもパクってオマージュを捧げている感じだし、和田アキ子の「古い日記」や西城秀樹の「情熱の嵐」のアレンジなどもチェイスのサウンドの影響と考えられている。

ちなみにT.REXの名曲「Get It On」がアメリカでは「Bang a Gong」とタイトルを変更して流通したのは、この曲があったからだ。両曲はほぼ同時期にリリースされたが、チェイスの方が3ヶ月早かった。ちなみに「Get It On」とはスラングで「性交」の意味である。

チェイスは翌72年に2ndアルバムを発表するが商業的に失敗に終わり、解散してしまう。
その後、リーダーのビル・チェイス(トランペット)が中心となり、メンバーを一新して74年に5人で再結成。74年の初めに3rdアルバムをリリースしたものの、1974年の8月9日、ツアーで移動中の飛行機が墜落し、リーダーを含むメンバー4名が死亡した。今日は彼ら4人の祥月命日だ。

なぜかひとりだけバス移動していたヴォーカルのジム・ピートリックが運良く生き残った。その後、彼が新たに結成したバンドが「アイ・オブ・ザ・タイガー」のヒットで知られる、サバイバー(生存者)である。

⇩ 欧陽菲菲「恋の追跡」

(Goro)