Freak Out! (1966)
フランク・ザッパ率いるザ・マザーズ・オブ・インヴェンションの1st『フリーク・アウト!』(1966)を聴く。
これを聴くのは初めてではない。人生何度目かの挑戦だ。
どこかで聴いたようなポップスやR&B、ドゥー・ワップ、ブルース・ロック、ノイズやSEをコラージュした実験作まで、ごた混ぜの2枚組である。
演奏は頑張ってるし、凝ったアレンジもあり、ときにはギターを弾きまくったりもするのだが、全体的にはヒゲのおっさんのニヤニヤ顔が浮かんでくるようなパロディ・アルバムの印象だ。よくこんなふざけた珍奇作をMGMみたいな大レコード会社が出したなと驚くほどだ。
全米130位と案の定売れなかったが、その後カルト的な人気を集めたという。
いつの時代にも珍奇なものが好きな好事家というのはいるものだ。
一応、内容はアメリカン・カルチャーやロック・カルチャーを皮肉った態度で一貫した、史上初のコンセプト・アルバムでもある。その意味でロック史における重要作のひとつと言えるが、それと好き嫌いは別の話だ。
凡人のわたしは、今になってもとてもとてもこれを楽しめる境地には至っていない。
反骨心や実験精神というロック的な気概はたしかに感じるものの、まあなにしろ60年近く前の実験作である。今聴いても長ったらしくて退屈なバカ騒ぎみたいなものにしか聴こえなくても仕方がないだろう。音楽に限らないが、実験的作品というものの意義や価値というのはその時代じゃないと本当にはわからないものだ。
1stアルバムなので代表作みたいに扱われているだけで、きっとザッパの本領はもっと違う作品で発揮されているのだろう。
(Goro)