はじめてのオアシス 名曲10選 10 Oasis Songs to Listen to First

オアシス 20周年記念デラックス・エディション

英マンチェスター出身のオアシスは、リアムとノエルの、仲の悪さが始末に負えないギャラガー兄弟を中心としたバンドだ。
1994年にシングル「スーパーソニック」でデビューし、15年の活動期間を経て、兄弟の仲の悪さがMAXに達し、殴り合いの喧嘩の末2009年に解散した。

80年代末のイギリスからは、ジーザス&ザ・メリー・チェインあたりからの影響か、ラウドでノイジーな轟音ギターバンドが続々と出てきて、ロック・シーンが大いに盛り上がった。
それはわれわれも大いに楽しんだのだけど、しかしそんな彼らが残念ながらどいつもこいつもすぐに消えて行ってしまったのは、やはりソングライティングが物足りなかったからだと思う。

そんな中、真打ち登場のようにトリで出てきたのが、このオアシスだった。
彼らはサウンドもラウドで十分にカッコよかったが、ノエル・ギャラガー(兄)によるその卓越したソングランティング能力で他のバンドを圧倒したのだった。

ここではそんな、90年代英国ロックを代表するバンド、オアシスの最高の名曲から、はじめて聴く人にもとっつきやすいように10曲に厳選した《決定版ベスト》を、曲順にもこだわって選んでみました。

#1 スーパーソニック(1994)
Oasis – Supersonic

Supersonic

1994年4月5日、90年代ロックの頂点を極めたニルヴァーナのカート・コバーンが自殺するという悲劇とともに、アメリカで盛り上がっていたグランジ・ブームも終息した。

そしてそのわずか6日後、まるでロック・シーンの主役の座が入れ替わるようにして、オアシスのデビュー曲「スーパーソニック」が発売されたのだった。

オアシスの曲にはもう少し耳あたりの良い曲もあるので、そっちの入り口を使う手もあるけれど、それはまた後に回すとして、やはり最初はあえてこの入り口から入ろう。

世界が愛したビートルズ以来、英国ロック伝統のフックのあるメロディを轟音ギターで包み、空虚で不穏な時代の空気に抗うような、まさに時代の音と言える名曲だ。

#2 ワンダーウォール(1995)
Oasis – Wonderwall

モーニング・グローリー

オアシスの2nd『モーニング・グローリー』をわたしは、ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』と並ぶ、90年代最高のロックアルバムだと思っている。

多くのバンドが轟音ギターやヘヴィなサウンドを競い合っていた時代に、いち早く、ヘヴィなだけじゃないぜ、というところを、オアシスはこのアルバムで見せつけた。

その代表的な曲がこの「ワンダーウォール」であり、次に出てくる「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」だ。

こんな凄いものを出して来られたら、他のブリット・ポップと言われたバンドたちは尻尾を巻いて逃げるしかあるまい。

この「ワンダーウォール」は全英チャートで2位、そして全米チャートでも8位まで上がる大ヒットとなり、世界にオアシスの名を知らしめた。

アルバムの全楽曲を書いたノエル・ギャラガーのソングライティングの才能にも注目が集まった。

わたしも、当時のイギリスには若気の至りみたいな勢いだけはある面白いバンドがたくさんいたけれども、ついにホンモノが出てきたなあ、などと少し感動しながらこの曲を聴いたものだった。

#3 ドント・ルック・バック・イン・アンガー(1995)
Oasis – Don’t Look Back In Anger

モーニング・グローリー

この曲もまた、90年代を代表するロック・アンセムである。

リアルタイムで胸にぶっ刺さったわれわれにとっては、あの時代のシンボルのように輝き続ける名曲だ。この曲をオアシスの最高傑作に挙げる人も多い。

わたしはこの曲を聴くと、いろんなことを思い出して、泣けてきたり、腹が立ったり、誇りに思ったり、恥ずかしくて死にそうになったりする。

この曲も名盤『モーニング・グローリー』からのシングルだ。全英1位の大ヒットとなった。この曲はリアムではなく、なぜか兄のノエルが歌っている。

バンドの最高傑作をメインヴォーカリストが歌わないなんて、いったいどういう事情でそうなったかはわからない。
制作上の意図なのか、キーの問題なのか、いつもの兄弟喧嘩のせいなのか、わからない。

でも弟よりやや高くてソフトな声の兄ちゃんのほうがたしかにこの曲はしっくりくる気がする。

#4 ホワットエヴァー(1994)
Oasis – Whatever

ホワットエヴァー

オアシスの曲の中でも、なぜか日本ではこの曲が特に人気が高いようで、大和証券、トヨタ、ソニー、アサヒ、ファミマなどのCMや、TV番組等でもよく使われている。

ノエル・ギャラガーはこの曲がなぜ日本でこれほど人気があるのか不思議に思いながらも、来日時のライヴではよく演奏するそうだ。

この曲はオアシスの1stアルバムと2nd『モーニング・グローリー』のちょうどあいだにあたる、94年の12月のクリスマス商戦に発売されたシングル曲だ。オリジナルアルバムには収録されていない。
全英3位まで上がる大ヒットとなり、この後に発表される『モーニング・グローリー』での世界的な成功へつながるステップとなった。

オアシスにはめずらしい、明るく、やわらかな印象の曲だ。

ストリングスを導入したアレンジが美しいが、演奏しているのはなんと名門ロンドン・フィルハーモニー・オーケストラのメンバーで、MVでも共演している。

あの傍若無人なマンチェスターのヤカラが、心なしかいつもより行儀よく見えるのが微笑ましい。

#5 スタンド・バイミー(1997)
Oasis – Stand By Me

Be Here Now

この曲はオアシスの3rdアルバム『ビィ・ヒア・ナウ』からのセカンド・シングルで、全英2位の大ヒットとなった。

あの『モーニング・グローリー』の後の、まさに全世界待望のという空気の中で発表された3rdアルバムは期待の大きさゆえか、もうひとつ評判はよくなかったし、ノエル・ギャラガー自身もあまり気に入っていないと語っていたが、わたしはにはこの「スタンド・バイ・ミー」1曲で充分だ。

ベン・E・キングのカバーではないが、似たような内容で、「先のことなんてだれにもわからない。だからいつもそばにいてほしい」と歌う歌だ。

ちょうどわたしが30歳の時に転職せざるを得なくなり、淋しさや心細さや不安に沈みがちな時にリリースされた曲で、励まされるような、勇気づけられるような、そんな気持ちで聴いていたのを思い出す。
だから今でもこの曲はわたしにとって、オアシスの中でも最も感動的な、心を揺さぶる曲だ。

最近はやけに涙もろいわたしは、この曲を聴いてもまた、泣けてきてしまうのだ。

#6 リヴ・フォーエヴァー(1994)
Oasis – Live Forever

オアシス 20周年記念デラックス・エディション

1stアルバムからのシングルで、初の全英チャートTOP10入りを果たした曲。
今でもこの曲をオアシスの最高の1曲に挙げる人も多いのではないか。

この曲はギャラガー兄弟の母を讃える曲なのだそうだ。
ノエル・ギャラガーは次のように語っている。

当時のニルヴァーナなどのグランジは、自己嫌悪と死にたいというものばかりだった。俺はそう思わないし、カート・コバーンみたいなのには腹が立った。だから永遠に生きたいというような曲を作った

(出典:ウィキペディア= 英「MOJO」誌編・著、中山啓子・訳 『ロック不滅の100曲』)

#7 サム・マイト・セイ(1995)
Oasis – Some Might Say

モーニング・グローリー

95年の4月に発売された6枚目のシングルで、半年後に『モーニング・グローリー』にも収録された。オアシスにとって初めての全英1位となった曲。

この曲はスウェードの影響(対抗心?)によって書かれたとノエルは語っている。

たしかにギター・ロックはずっと長い間ダサイものとして捉えられてたよな。スウェードは俺たち(オアシス)より半年ぐらい早くシーンに台頭したと思うけど、いわゆる”ギター・ヒーロー”っていう概念はジョニー・マーの時代で終わってた。で、そういう状況の中、いきなり登場したのが、あの敬愛すべきバーナード・バトラーだったんだよ。俺も”アニマル・ナイトレイト”を初めて聴いた翌日に”サムマイト・セイ”を書いたくらいだからな。

(出典:rockin’on.com 児島由紀子の「ロンドン通信」https://rockinon.com/blog/kojima/89192)

「ホワットエヴァー」の次のシングルということになるが、このあたりのノエル・ギャラガーの成長著しいソングライティングが素晴らしい。乗りに乗っているという感じがする。
わたしはこの曲の、なにか人を励ますような、やさしく語り掛けるようなメロディーがとても好きだ。

#8 モーニング・グローリー(1995)
Oasis – Morning Glory

モーニング・グローリー

名盤『モーニング・グローリー』のタイトル曲。オーストラリアでのみシングルカットされた。

アルバム中でも最もスピード感にあふれる、ラウドだがキャッチーな曲で、一度聴いたらサビぐらいは歌えるようになる。
歌詞には特に意味はないらしい。ノエルは結構そういうところがあり、次のようにも語っている。

俺はまず最初の一節と最後の言葉を書く。例えば“Supersonic”なんて、『えーと、この言葉と韻を踏むのは何だっけ?』と考えて、『A』から始めていくんだ。『Atomic. Bionic.』ってな感じで、次は『Gin & Tonic……よしこれはいい』ってね。大したことじゃない。ただ、書いていけばみんなが『Wow! Feeling Supersonic…Give me Gin and Tonic. Wow!』って歌う。だって韻を踏んでるからね(『インデプス』誌、1995年3月)

「モーニング・グローリー」というのは場合によってはエッチな意味で使われる言葉でもあるらしい。
朝勃ちのことか?

#9 アクイース
Oasis – Acquiesce

ザ・マスタープラン

95年の「サム・マイト・セイ」のシングルにカップリングとして収録された、オリジナル・アルバム未収録曲。
後にカップリング曲集として発売された編集盤『マスタープラン』に収録された。

オアシスはシングルをいつも、メインの曲以外に、アルバム未収録曲を2曲、ライヴ音源を1曲と、豪華に4曲入りで発売するのが常だった。

この「アクイース」のように、メインの曲以外のクオリティも高く、しかもアルバムに収録されていないため、シングルもよく売れたのだ。

この曲はオアシスにはめずらしく、Aメロをリアムが歌い、サビをノエルが歌うという、兄弟デュエットになっている。

この兄弟は仲が悪いことで有名だったが、兄のノエルはリアムについて、こう語ったことがある。

あいつは無礼で傲慢で、威圧的でしかも怠け者だ。あんなに怒ってばかりいる奴も珍しい。まるで世界というスープにフォークで立ち向かおうとしているみたいだ。
(出典:『Q』誌、2009年4月)

そして弟リアムは、兄についてこう語っている。

バンドと関係ないところなら、ノエルは好きだ。一個人としてのノエルこそが俺の兄貴だし、尊敬してる。彼のためになら何でもするさ。でもこのひでえビジネスに関わってる時のあいつは、全宇宙でトップクラスの最低野郎だ。
(出典:NME JAPAN https://nme-jp.com/blogs/3335/)

#10 シャンペン・スーパーノヴァ(1995)
Oasis – Champagne Supernova

モーニング・グローリー

アルバム『モーニング・グローリー』のラストを飾る、オアシスの楽曲の中でも最も美しい名曲。
歌メロは耳に残りやすく、ギターのフレーズも印象的でついつい鼻歌で歌いたくなるほどだ。

イギリスではシングルカットされていないが、一部の国では短く編集してシングルとして発売され、米オルタナティヴチャートでは1位を記録している。

2016年に公開されたドキュメンタリー映画『オアシス:スーパーソニック』には、リアムがこの曲の歌入れをしているレコーディングのシーンがある。
なんとリアムは、1回しか歌っていない。

歌い終わったリアムがブースにいるプロデューサーとノエルに尋ねる。

リアム:もう一度?
ノエル:いや、いい。
リアム:終わりか?
ノエル:サッカーを観て来い。
リアム:やった。

と、スタジオを飛び出していく。

また、凄いのがそのリアムの歌の覚え方だ。
ノエルが一度だけギターで弾いて聴かせ、歌詞を渡す。
リアムが歌い、ノエルがフレージングをチェックする。
この方法にはプロデューサーのオーウェン・モリスも「マジかよ。すげえ」と感嘆している。


以上、【はじめてのオアシス 名曲10選】でした。

初期の3枚のアルバムまでの選曲になってしまったけど、気に入ったら後期のアルバムも聴き進めてほしいと思います。

しかしアルバムではなにしろ『モーニング・グローリー』が強力だ。
このアルバムは、ロック史上最高の10枚に入るだろう。

記事を書いた人(Goro)

愛知県在住。中学卒業後、無知蒙昧のまま社会にさ迷い出て、底辺職を転々した後、地元の映画館に拾われる。映画館に10年勤めた後、レンタルビデオチェーンのバイヤーを20年勤め、現在は再び底辺職で肉体労働の日々に返り咲く。心に平安が訪れている。生活に不満はなし。音楽にはいろいろと救われている。「映画は映画館で観なきゃダメ派」ではない。

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