はじめてのザ・ストーン・ローゼス 名曲10選 10 The Stone Roses Songs to Listen to First

Stone Roses: 20th Anniversary Remastered Edition

英国マンチェスターで結成されたザ・ストーン・ローゼスは、1985年にシングル「ソー・ヤング」をインディーズ・レーベルから発表した。

その後シングルを2枚出し、ベーシストがマニに替わって最強布陣となると、デビューから実に4年後、当時絶滅寸前だった英国ロックシーンを救った奇跡の名盤『石と薔薇』を発表する。

60年代ロックとダンス・ビートを融合させ、ノスタルジアと斬新さを兼ね備えたスタイルで若者の支持を得、彼らはマンチェスター・ムーヴメントのシンボルとなった。
このアルバムの登場が、衰退の一途をたどった80年代英国ロックにピリオドを打つと同時に90年代ロックの新たなスタートとなったのだ。
1989年、日本では激動の昭和が終わって新しい時代を迎えた、平成元年のことだった。

わたしは当時、60~70年代のロックばかり聴いていた。もうロックは古代の恐竜のように死に絶えたと思っていたからだ。
80年代ロックなんてわたしにはトカゲかカナヘビぐらいにしか思えなくて、たまにオッと思っても、せいぜいイグアナに出会う程度のことだったのだ。
だから89年にこの『石と薔薇』が発表されたときは感動した。古代の恐竜が奇跡的に生き延びていたと思った。

もうそこからはリアルタイムでロックを聴き、90年代のロック大復活を毎日肌で感じながら、夢のような気分で過ごしたものだった。

あれから、時はもうあれよあれよと矢のように過ぎて30年。

平成も今年で終わり、わたしは期待していたのとはやっぱり違った人生を歩み、年だけはしっかり取ってしまったけれど、ストーン・ローゼスの音楽はいつ聴いても青春の香りしかしない。

未熟さと、若さが纏う特有の甘い蜜のような匂いと、熱に浮かされたような高揚感と、根拠のない自信に溢れた、恥ズカッコいい青春ロックだ。

そんな、90年代英国ロック革命の立役者、ザ・ストーン・ローゼスをはじめて聴く方のために、名曲を10曲に厳選して選んでみました。

#1 憧れられたい(1989)
I Wanna Be Adored

Stone Roses: 20th Anniversary Remastered Edition

1stアルバム『石と薔薇』のオープニングを飾る彼らの代表曲。

サイケデリック・ロックがユルめのダンス・ビートと融合し、浮遊感のあるヴォーカルも相まって、ゆらめくような独特のスタイルを生み出している。

イアン・ブラウンのヴォーカルの素人感が凄いので、まるで第二のパンク革命のように「おれにもできる」感じでフォロワーが続々と登場したが、ちょっと聴けばヴォーカル以外は技術的にもレベルが高いのがわかる。
当時はフロントマンよりも、特にドラマーのレニがまず脚光を浴びるというめずらしいパターンだった。

#2 メイド・オブ・ストーン(1989)
Made of Stone

Stone Roses: 20th Anniversary Remastered Edition

ザ・スミスが87年に解散した時は、これでもう英国ロックは絶滅したと思ったものだった。それぐらい当時の英国は、深刻なロック不足に悩まされていたのだ。

この曲は1stアルバムからのリード・シングルで、これが彼らの出世作になる。
60年代の王道ロックの感じで聴きやすく、サビは一緒に歌いたくなる。

#3 シー・バングス・ザ・ドラム(1989)
She Bangs the Drum

Stone Roses: 20th Anniversary Remastered Edition

1stアルバムからの、2曲目のシングル。英インディ・チャートで初の1位を獲得した。

青春のきらめきが眩しいぐらいの、爽やかな曲だ。思い出すなあ、わたしのおバカなズッコケ青春時代を。

ストーン・ローゼズの楽曲はヴォーカルのイアン・ブラウンとギターのジョン・スクワイアの2人が書いているが、そのジョンによれば「ストーン・ローゼズの基本的な発想は、アートとワイルドなサウンドと耳あたりの良いメロディーを一緒にするということ」と当時から語っていた。
この曲も耳あたりが良すぎるぐらいだけど、この理念はそのままオアシスやブリット・ポップあたりまで90年代ロックの理念として続いていったことでも、ストーン・ローゼズの影響の大きさがわかる。

#4 僕の復活(1989)
I am the Ressurection

Stone Roses: 20th Anniversary Remastered Edition

1stアルバムの最後にふさわしい感動的なメロディと、滅法カッコいいエンディングを持つ、8分を超える大曲。歌詞の内容は、商業化されたキリスト教を批判した歌なのだそうだ。

エンディングに突入した瞬間の、通り魔的ギター・ソロはいつ聴いてもグッとくる。

#5 サリー・シナモン(1987)
Sally Cinnamon

Sally Cinnamon (W/Dvd)

FM Revolverというインディーズ・レーベルから発売された、彼らにとっての2ndシングル。
それまではパンク的なアプローチだったのが、この曲では初期のバーズのような、歌メロ重視のアコースティック・ロックのサウンドに方向転換している。

ちょうどプライマル・スクリームが同時期に同じバーズ的な方向性で出てきたのは、ネオアコからの進化系として必然的に出て来たのか。

ジャケはたぶんイギリスのある場所なのだろうけど、あっちにもガチャガチャってあるんだなあ。

#6 フールズ・ゴールド(1989)
Fools Gold

Fools Gold

1stアルバムから半年後に発表されたこのシングルは、すでに彼らが次の扉を開いて新たなスタイルの創造に取り掛かったことを示していた。

ファンクをローゼズ流に取り込んだのだったが、最初聴いたときは「なんじゃこりゃ!?」と吃驚したものだった。1989年のNME誌シングル・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた、彼らの代表曲。

#7 ワン・ラヴ(1990)
One Love

One Love

1990年に発表された、彼らにとって7枚目のシングルで、全英チャート4位と、過去最高位を記録した。

前作の「フールズ・ゴールド」の路線を踏襲しながらも、さらにキャッチーにしてわかりやすいサビも入れた、進化系ストーン・ローゼズの完成形とも言えるシングル。

#8 ラヴ・スプレッズ(1994)
Love Spreads

Second Coming

1989年に1stを発表して以来、レーベルとの裁判ですったもんだしているうちに、音楽に対するモチベーションを失い、大金を手にして遊び惚け、プロデューサーやスタッフが離れ、5年が経過してしまう。この5年が本当にもったいなかった。

この曲は5年ぶりの2ndアルバム『セカンド・カミング』からのリード・シングルだ。全英2位と、彼らにとってのシングル最高位を記録する大ヒットとなった。

アルバムもレッド・ツェッペリンのような、グルーヴ感が強調されたハードな完成度の高いアルバムで、全英4位と健闘した。

このシングルも良い出来だし、当時は素直にローゼズ復活を喜んだが、激動のロック・シーンにおける微妙なアンマッチ感はたしかに否めず、アルバムの批評も賛否両論だった。

#9 テン・ストーリー・ラヴ・ソング(1994)
Ten Storey Love Song

Second Coming

『セカンド・カミング』からの2曲目のシングル。

彼ら自身が着火した90年代ロックのせっかくの大盛り上がりに、彼ら自身が参加できないまま時が過ぎていった。
ザ・ストーン・ローゼズにとって致命的だったのは、この本当にムダな5年もの空白期間だった。

そのあいだにプライマル・スクリームやジーザス&メリー・チェイン、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインなどが英国ロックの中心となり、アメリカではニルヴァーナの登場でグランジ・ブームが巻き起こり、『セカンド・カミング』の8カ月前にはマンチェスターの後輩オアシスがデビューしていた。

めまぐるしく変化した激動のロック・シーンの中で、ローゼズの2ndが届いたのは嬉しかったけれども、あまりにも遅きに失した感は否めなかった。

この翌年にはバンドの核となるドラムのレニが脱退し、さらに翌96年にはギターのジョンが脱退、そして解散へと、一気に突き進んでしまった。

#10 オール・フォー・ワン(2016)
All for One

All for One

ストーン・ローゼズは2011年に、オリジナル・メンバーでまさかの再結成を果たし、翌2012年にはフジロックでトリを務めた。

そして2016年、22年ぶりに発表された新曲がこの「オール・フォー・ワン」で、CDではなく、YouTubeで発表された。これがなかなか良い曲だ。

シャッフル・ビートの、シンプルだけどローゼズらしい響きを持つ、わかりやすい曲だ。

ザ・ストーン・ローゼズのアルバムを聴くなら当然1stをお薦めする。ベスト盤やシングル集はその後のほうがいい。

80年代に英国ロックの歴史が途切れようとしたのを救ったその影響力は、ロック史を変えた10枚のアルバムに選ばれてもおかしくないほどの役割を果たした作品だ。

ローリング・ストーンズのビート感やビートルズのポップ性だけでなく、サイケデリックやヴェルヴェット・アンダーグラウンドのようなアート性やダークな地下感もあり、一筋縄ではいかない、深い味わいを持つアルバムだ。

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