甲斐バンド/きんぽうげ(1977)

この夜にさよなら(紙ジャケット仕様)

ニッポンの名曲 #39
作詞:長岡和弘 作曲:松藤英男・甲斐よしひろ 編曲:甲斐バンド

そんな、日本人離れした荒井由実と真逆とも言えるのが、甲斐よしひろだ。

ブルースでもカントリーでもない、アメリカン・ポップスやブリティッシュ・ロックの真似事でもない、甲斐バンドの音楽は「日本のロック」というほかないオリジナリティがあった。

この「きんぽうげ」は、彼らの4枚目のアルバム『この夜にさよなら』の収録曲で、シングル「そばかすの天使」のB面である。
決してヒット曲ではないのに、ファンの間では彼らの代表曲として認知されているのは、この曲がいかにも甲斐バンドらしい魅力を凝縮したものだからだ。

歌謡曲や演歌を彷彿とさせる歌詞、ぬめりを帯びた艶っぽいメロディ、こぶしをゴリッゴリにきかせた甲斐節ヴォーカル。彼らの音楽には、日本の「唄」の血が脈々と流れたまま、ロックへと進化した、という感じがする。
ポップではあるけれど、カラフルではない。モノクロームのポップである。オシャレでもないし、革新的でもないけれど、とにかく猛烈にカッコいいことだけは間違いない。

世界よ、これが日本のロックだ! とわれわれは誇るべきだと思う。

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