【100グレイテスト・ソングス】#43
The Rolling Stones – She’s a Rainbow
1967年でストーンズが終わりを迎えてもおかしくなかった、というのは主要メンバーの逮捕のせいだけではなかった。
ブリティッシュ・ビート・バンドたちが猛スピードで進化を遂げ、サイケデリックだ、コンセプト・アルバムだと新たな展開を見せていく中で、ビートルズと先頭争いをしていたはずのストーンズが、ここへ来て失速し始めていた。
1967年の『サタニック・マジェスティーズ』は迷走したストーンズの失敗作と名高い、彼ららしくもないサイケデリック風のコンセプト・アルバムだった。
ブルースという、リアリズムの音楽をやって来た彼らに、ファンタジーのコンセプトが似合うはずもない。
この頃のストーンズについてキースは次のように語っている。
俺たちはガス欠に陥っていた。ストーンズはいつ沈没してもおかしくないくらいの状態だった。(中略)
誰も曲なんか作りたくなかったんだが、アルバムを出さなくちゃならない時期だったし、ビートルズが『サージェント・ペパーズ』を出していたから、まあ要するに、うわべだけ取り繕おうと考えたってのが正直なところだ。俺に言わせりゃ、あのアルバムはまやかしだった。
(『ライフ』キース・リチャーズ著 棚橋志行訳)
しかし、そんなうわべだけのまやかしアルバムにも、美しい曲が収められている。この「シーズ・ア・レインボウ」がそうだ。
印象的なピアノのリフレインのせいか、日本でも何度かCMに使用されている。
現在もCMに使われていて、テレビから流れてくるのをときどき耳にするが、なんのCMだったかまでは、残念ながら思い出せましぇーん。