柳ジョージ&レイニーウッド【名曲ベストテン】YANAGI GEORGE & RAINY WOOD Greatest 10 Songs

ゴールデン☆ベスト~バーボン・イヤーズ~

1978年にデビューした柳ジョージ&レイニーウッドは、柳ジョージのヴォーカリストとしての魅力はもちろん、リーダーの上綱克彦(key)、石井清登(g)、そして柳という3人の優れたソングライターがいたのが大きな魅力だった。

わたしは中学1年の頃に彼らのヒット曲をラジオで耳にし、まるで洋楽みたいなカッコ良さと柳ジョージの野性味あふれるパワフルなしゃがれ声にシビれたのだった。

当時のテレビの歌番組では、歌謡曲とたいして変わらなくてもバンドの形態で演奏していれば「ロック」と言われていたけれども、ラジオから流れてくる洋楽の「ロック」とは全然違うなあと子供心に思っていたものだ。

でもこの柳ジョージ&レイニーウッドは本物の「ロック」にずっと近くてカッコ良かった。渋い大人のカッコ良さだった。あの老成したような声だから当時は勝手に50歳ぐらいの人かと思ってたけど、今思えばまだ30歳の若さだった。

彼は2011年に63歳という若さでこの世を去った。
わたしが最後に彼をテレビで見たのは1996年の『HEY! HEY! HEY!』にMUSIC CHAMPとして出演したときだった。

ダウンタウンとのトークでは始終緊張してはにかむように話し、彼の謙虚でシャイな人柄が出ていて今でもとても印象に残っている。

以下は、わたしが愛する柳ジョージ&レイニーウッドの至極の名曲ベストテンです。

第10位 遺言(1979)
作詞:トシ・スミカワ 作曲:上綱克彦

4thアルバム『RAINYWOOD AVENUE』からのシングル。

「おれが死んだら、土に埋めずに海に流してくれ、裏道を歩いてきたおれのたったひとつの夢なんだ」と歌う、なんとなく無国籍劇画タッチ風の歌詞だけど、柳の声にはこういうのがよく似合う。

第9位 プリズナー(1979)
作詞:トシ・スミカワ 作曲:上綱克彦

彼らのブレイク作となった3rdアルバム『Y.O.K.O.H.A.M.A.』のオープニング・トラック。

シングル・カットはされていないが、ファンの間で人気が高く、代表曲のひとつとして知られている。

第8位 本牧綺談(1979)
作詞・作曲:柳ジョージ

3rdアルバム『Y.O.K.O.H.A.M.A.』からのシングル。

ソウルフルなサウンドに柳の声がよく合ってるけど、しかしあくまでも柳の声は黒人の声とも白人の声とも違う、日本人の声で、日本的なコブシも感じる歌い方が魅力だ。
この曲は萩原健一もカバーしている。

動画がライヴ音源しか見つからなかったが、これはアレンジもやや派手な熱い感じだけど、オリジナルのクールな感じがまたカッコ良いのだ。

第7位 「祭りばやしが聞こえる」のテーマ(1977)
作詞:東海林良 作曲:大野克夫

1stアルバム『Time in Changes』収録曲で、萩原健一のTVドラマ『祭りばやしが聞こえる』の主題歌にも使われた、柳ジョージのデビュー・シングルだ。

70年代米国のニュー・ソウルみたいなクールなアレンジがめちゃカッコいい。
作・編曲は「勝手にしやがれ」などで沢田研二の黄金時代を支えた大野克夫だ。

「『祭りばやしが聞こえる』のテーマ」の過去記事はこちら

第6位 酔って候(1978)
作詞・作曲:柳ジョージ

1st『Time in Changes』からのシングル。

歴史小説好きの柳ジョージが、司馬遼太郎の同名の小説(土佐藩の藩主・山内容堂を主人公にした幕末もの)にインスパイアされて書いた曲。
柳は許可を貰うために大阪の司馬の家を訪ねて曲を聴かせたという。司馬は「ほう、ロックですか。あんまり売れないことを願うけどね」と笑いながら言ったという。

結果は、柳ジョージ&レイニーウッドの出世作となったが、誰もが知ってるほど売れたわけではないので、まあセーフだと思う。

第5位 微笑の法則~スマイル・オン・ミー(1979)
作詞・作曲:柳ジョージ

資生堂のCM用に書かれた曲らしく、それまでの作風に比べると急にポップな歌謡曲風で、持ち味の泥臭さや洋楽テイストが抜けた感じだけど、曲は大ヒットし、アルバムもオリコンチャート1位に輝いた。

だいぶ資生堂に寄せてるところはあるけど、でも「目元をはぁしるぅ~」とか「口笛のぉー」とか「この舗道ぉの~」とか、柳のこぶし回しにゾクゾクさせられるのだ、わたしは。当時、めちゃくちゃ好きだったなあ。

第4位 さらばミシシッピー(1981)
作詞:水甫杜司&柳ジョージ 作曲:石井清登

6thアルバム『HOT TUNE』からのシングル。パイオニアのラジカセ「ランナウェイ」のCMとして使われてヒットした曲。作曲はレイニーウッドのギタリスト、石井清登だ。

彼らが得意とした、アメリカ南部を舞台にした歌詞と、サザン・ロック風の土臭いテイストがカッコいい。

第3位 ヘイ・ダーリン(1979)
作詞:柳ジョージ 作曲:上綱克彦

3rdアルバム『Y.O.K.O.H.A.M.A.』からのシングル。もともとは全編英語で歌われていたオリジナルを、日本語で歌い直してシングルとしてリリースされたもの。柳ジョージのヴォーカルの独特の節回しやシャウトが、日本語のほうがより効果的に聴こえる。

日本的なリズム&ブルース風のせつないバラードで、ピアノを中心にしたアレンジが効果的だ。サビのメロディにグッとくる。

「ヘイ・ダーリン」の過去記事はこちら

第2位 青い瞳のステラ、1962年夏…(1980)
作詞:水甫杜司 作曲:上綱克彦

5th『Woman and I… OLD FASHONED LOVE SONGS』からのシングル。

アメリカ南部を想起させるワードがこれでもかと盛り込まれ、古いアメリカ映画のワンシーンのようなイメージが鮮やかに浮かぶ。
メロディも雰囲気たっぷりで、これが日本の歌だということを忘れてしまうほど、洋楽っぽいバラードだ。初めて聴いたときから感動した。

「青い瞳のステラ、1962年夏…」の過去記事はこちら

第1位 雨に泣いてる(1978)
作詞・作曲:柳ジョージ

もともとは2ndアルバム『WEEPING IN THE RAIN』のタイトル曲で、全編英語で歌われていた曲。

これも萩原健一主演のTVドラマ『死人狩り』のテーマソングに使われることになり、日本語に直して再録音されたもの。英語版も聴いたけど、日本語の方が迫力があってやっぱり好きだ。「ほーほぉをぬぅらっすうっ~」の野蛮な迫力と節回しでもうサイコーだ。

わたしは12歳の時にこの曲を初めて聴いて、当時の日本では異色だったその洋楽ロックみたいな渋いカッコ良さにシビれたのだった。

「雨に泣いてる」の過去記事はこちら

以上、柳ジョージ&レイニーウッド【名曲ベストテン】YANAGI GEORGE & RAINY WOOD Greatest 10 Songsでした。

入門用に柳ジョージ&レイニーウッドのアルバムを最初に聴くなら、『柳ジョージ&レイニーウッド シングルズ』がお薦め。

彼らの場合、レコード会社を移籍している関係で完璧な選曲のベスト盤がないのだけど、これは比較的代表曲がほぼ網羅されています。

(by goro)