アイルランドのふんわりセクシーな5人姉妹【日本が愛した洋楽ヒット #1】ノーランズ/ダンシング・シスター (1979)

ダンシング・シスター[EPレコード 7inch]

ノーランズ/ダンシング・シスター(1979)
The Nolans – I’m in the Mood for Dancing

「ニッポンが愛した洋楽ヒット」というシリーズを思いついて、真っ先に思い浮かべたのが、わたしが13才の時に日本で大ヒットしていたこの曲だ。たぶん同世代なら、たとえ洋楽をまったく聴かない人でもこれは知ってるのではないか。

ノーランズはアイルランド出身の、実の5人姉妹だ。72年頃から活動していたが、この曲が本国アイルランドで2位、イギリスで3位と火がつき、1980年7月に日本でもリリースされると、オリコン総合シングルチャート1位、洋楽チャートでは14週1位、その年の年間1位と、本国を超える70万枚の大ヒットで、一大旋風を巻き起こした。

その2年ほど前に大ヒットしたアバの「ダンシング・クイーン」なんかもそうだけれども、当時日本で大ヒットする洋楽シングルは、ディスコ・ビートに覚えやすい歌メロのポップスという組み合わせがテッパンであり、この曲はまさにその典型だった。

そのうえ女子がたくさん、というビジュアルは鉄板の上にさらにもう一枚鉄板を重ねたようなものだ。当時人気だったピンク・レディーやキャンディーズなどのアイドルグループはせいぜい女子2〜3人というところだったので、5人という数はそれなりのインパクトがあったに違いない。今はもう女子アイドルグループというとかなり大きめのキャバクラぐらいの在籍数のものもあるので5人ぐらいでは珍しくもないだろうけれども。

当時はビデオもインターネットもないし、テレビで洋楽が放送されることも少なかったし、動いているノーランズを見る機会も多くはなかった。だから今あらためてPVを見てちょっと驚いた。健康的なファミリー・グループのようなイメージだったけれども、こんなにはだけて、こんなに揺らしていたとは。そうか。そうだったのか。

もちろん、この曲が大ヒットしたいちばんの要因は、一度聴いたら耳に残る曲の良さには違いない。完全無欠のディスコ・ポップ・ソング。今聴いてもすごい曲だ。

「ニッポンが愛した洋楽ヒット」というタイトルは、「本国よりも他の国よりもなぜか日本で特に愛された」という意味合いを含んでいるつもりです。このシリーズではそんな、世界のポップス史からは忘れられようとしているけれども、日本人にとっては忘れられない、そしてわたしにとってはロックを聴く以前の洋楽の原点だったりする洋楽ヒットの数々を、あらためて取り上げ、記憶に刻みつけていきたいと思います。

(Goro)