“仮面貴族”の入場曲がまさかの大ヒット【日本が愛した洋楽ヒット #2】ジグソー/スカイ・ハイ(1975)

スカイ・ハイ(オリジナル・バージョン)

ジグソー/スカイ・ハイ(1975)
Jigsaw – Sky High

この曲はもともと1975年公開の香港映画『スカイ・ハイ』の主題歌として、英国のポップ・グループ、ジグソーが書いた曲だ。

シングルとしてもリリースされ、全英9位、全米3位のヒットとなった。

しかしこれが日本で大ヒットするのはその2年後、全日本プロレスに何度か参戦していたメキシコの覆面レスラー、ミル・マスカラスの入場曲として使用されるようになってからだ。

空中殺法を得意とするレスリング・スタイルで人気を博したマスカラスのイメージに合わせて選曲したと思われるが、これがオリコン洋楽チャートで11週連続1位、年間1位、120万枚を売り上げるメガ・ヒットとなった。発売元のテイチク関係者でさえ「まさか売れるとは思っていなかった」と語っている。

レスラーの入場時にテーマ曲を流すというのはこれが最初で、これ以降、それぞれのレスラーに入場曲が付き、洋楽を知らない子供達でもアブドーラ・ザ・ブッチャーの入場曲だったピンク・フロイドの「吹けよ風、呼べよ嵐」や、ブルーザー・ブロディーの入場曲だったレッド・ツェッペリンの「移民の歌」を知っていたものだった。

わたしは当時小学校5年生で、プロレスも好きだったが(当時は野球の次ぐらいに人気があったものだ)、しかし猪木の方の新日びいきで、全日を見ていなかったため(両者はライバル関係にあるのだからどちらかしか見ちゃいけないものだとなぜか思い込んでいた)、ミル・マスカラスの試合もあんまり見たことはなかったけれども、この曲はラジオなどでよく聴いた。

この曲にはシングル・バージョンと、映画で使われたメインタイトル・バージョンの2種類があって、テンポも長さも演奏も違う。マスカラスの入場曲に使われたのは後者である。

⇩ シングル・バージョン

⇩ メイン・タイトル・バージョン

ジグソーはこの曲以外にはヒット曲が生まれず、1981年に解散している。

ミル・マスカラスは現在81歳で、健在である。
最後に日本のリングに上がったのは2019年2月、全日本プロレスの 両国国技館におけるジャイアント馬場没後20年追善興行で、弟のドス・カラスと組んでカズ・ハヤシ&NOSAWA論外と対戦した。ミル・マスカラス、76歳である。
YouTubeでこの試合を見たが、とにかくヨボヨボである。得意技のフライング・クロス・チョップを果敢に繰り出すが、全然飛べていないし、相手の懸命な協力によってかろうじてプロレスに見えているだけだ。しかし最後はコーナーポスト最上段から飛翔し、ダイビング・ボディ・アタックでフォール勝ちを収めた。会場大盛り上がりだ。プロレスに漂う哀愁って、やっぱり素敵だな。

(Goro)

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