Gilbert O’Sullivan – Alone Again, Naturally
アイルランド出身イギリス育ちのシンガー・ソングライター、ギルバート・オサリバンの代表曲。全米1位、全英3位、日本でもオリコン洋楽チャートで5週連続1位を獲得する世界的ヒットとなった。
素朴なアレンジと、流れるような美しいメロディが印象的なこの曲は、いかにも昭和の深夜ラジオから流れてきそうな雰囲気を醸していて、何度聴いても飽きないほどわたしも好きな曲だが、しかしその歌詞は嫌になるほどせつない。2023
父が逝き、母もそのショックから立ち直れないままに逝き、天涯孤独の身となった主人公が、晴れて結婚式を迎えた日の歌だ。
「今日は僕の結婚式だ。でも教会に彼女はやってこない。花嫁が逃げたことを悟った列席者たちはそれに気づいて一人また一人と帰途につき、僕はまたもや孤独になった。昨日まで、この日をあんなに楽しみにしていたのに。僕は八つ裂きにされ、心を打ち砕かれた。いっそ塔の上から身を投げて死のう」と歌う、絶望的なまでに悲しい歌だ。
そう思って聴いてみると、このなにか異常に感情のこもっていない虚無的な歌い方は、心の奥底に静かなる狂気が芽生えているようにも思えてくる。
歌詞の主人公は自身のことではないそうだが、下の動画で歌うギルバートの風体はミュージシャンというより、ロンドンの街角で靴磨きでもしてそうな、やや栄養の足りない青年風で、歌詞の主人公そのままのイメージである。
ちなみに間奏でギターソロを弾いているのは英国の名ギタリスト、ビッグ・ジム・サリヴァンだ。彼はジミー・ペイジの師であり、少年時代のリッチー・ブラックモアにギターを教えたことでも知られている。