ヴィーナスはやっぱり人間がいいな【日本が愛した洋楽ヒット #17】ショッキング・ブルー/ヴィーナス(1969)

VENUS

ショッキング・ブルー/ヴィーナス (1969)
Shocking Blue – Venus

ショッキング・ブルーは1967年にデビューしたオランダのバンドだ。1969年にリリースした5枚目のシングル「ヴィーナス」が本国オランダで2位、アメリカ、カナダ、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ベルギーで1位、日本でもオリコン2位となる世界的ヒットとなった。

ショッキング・ブルーはその後もヒットを連発し、「悲しき鉄道員」もオリコン2位、他に日本のみのシングルヒットもあり、日本では特に愛されたバンドだった。71年には来日公演を行い、その模様は彼らの唯一のライヴ盤『ライヴ・イン・ジャパン』のタイトルでリリースされている。

そして1986年にイギリスのガールズ・グループ、バナナラマがこの曲をカバーすると、またしても全米1位の大ヒットとなった。日本でもヒットし、すぐにアイドル時代の長山洋子が日本語詞でカバーし、オリコン10位にランクインした。

それにしても、ショッキング・ブルーのオリジナルは歌メロもさることながら、この独特のグルーヴがキモだと思うのだけれども、バナナラマや長山洋子のカバーは電子化のせいでそのキモの部分は見事に失われてしまっている(長山洋子の方はビートを殺して、歌謡曲化しているが)。やはり機械にはあの4人の人間の合奏が生み出す独特の「揺らぎ」のグルーヴは生まれないだろう。

それでも全米1位ということは多くの人に受け入れられたということだろうし、今の時代はボカロにAIと音楽の機械化はさらに進められ、受け入れられている。

残念ながら、わたしは機械化されたヴィーナスにはまったく魅了を感じられない。オリジナルは最高にカッコいいけれども、バナナラマの方は全然つまらない。わたしにとって音楽というのはやはり人間の合奏によって生まれるグルーヴがキモなのだ。

(Goro)

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