すきっ歯がチャームポイントのフランスのアイドル【日本が愛した洋楽ヒット #16】シルヴィ・ヴァルタン/アイドルを探せ (1964)

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シルヴィ・ヴァルタン/アイドルを探せ (1964)
Sylvie Vartan – La plus belle pour aller danser

1964年公開のフランス映画、シルヴィ・ヴァルタン主演の『アイドルを探せ』の挿入歌で、作曲はシャンソン界の大御所シャルル・アズナブールだ。ストリングスのアレンジが素晴らしい、オシャレで愛らしい名曲だ。

「アイドルを探せ」という邦題は映画のタイトルをそのままつけたもので、原題は「今夜のダンスのためにわたしは最高にキレイになる」という意味なんだそうだ。
日本でも大ヒットし、弘田三枝子や中尾ミエによる日本語でのカバーも競作されたほどの人気曲だった。

わたしの母親のお気に入りでもあったらしい。

母が父と別れ、子供3人と近所の粗暴なおっさんを連れて始めた貧乏暮らしにはレコードプレーヤーなどというものは長らく無く、オーディオセットが突然家にやってきた(理由はわからん)のは、わたしが中一の時だった。

わたしは母に連れられて、近所の商店街のレコード屋に人生初めてのレコードを買いに行った。もう何度もこのブログでも書いているが、わたしは初めてのレコードにYMOの『パブリック・プレッシャー』を選んだ。そのとき母は、シルヴィ・ヴァルタンのLPレコードを自分用に買っていた。わたしにとっては知らない外国の歌手なので特に興味を惹かれることはなかったが。

わたしがこの「アイドルを探せ」を聴いたのはそれから10年ぐらい後で、すでに実家を出て一人で暮らしをていた頃だ。聴いた瞬間に好きになった。そしてシルヴィ・ヴァルタンの名前と母が買ったレコードが記憶の中でリンクし、あの母はこんなお洒落な音楽が好きだったのかと意外に思ったものだ。たしかに、結婚した当時の21歳の母の写真は、髪をアップにしてミニスカートを履き、それなりにお洒落な格好をしていたものだった。もちろん、半年後には80歳になる現在の母にはその面影はないが。

先週病院でMRIの検査をしてもらったばかりだが、現在の母は脳が少し痩せ、初期の認知症の症状が出ている。生活はちゃんとできているのだけれども、何度も同じ話をするし、こちらが話したこともすぐに忘れてしまう。なのに昔のことはよく覚えていたりするのだ。そういうものらしいけれども。

今度会ったら、シルヴィ・ヴァルタンのこの歌を憶えているか、一度訊いてみよう。

(Goro)

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