ヒストリー・オブ・ロック 1990【革命前夜】Greatest 10 Songs

Goo

1990

80年代に”インディー・ロック”または”オルタナティヴ・ロック”と呼ばれていた、ロックの中でもアンダーグラウンドな連中は、90年代に突入すると次々と地下から地上に顔を出し、続々とメジャー・デビューしていくことになる。この現象の嚆矢となったのが、アンダーグラウンドの帝王、ソニック・ユースのまさかのメジャー・デビューだったのだ。

また、インディペンデント・レーベル自体も、クリエイション・レコーズみたいに、その作りや音質、そしてセールス、また所属アーティストの顔ぶれの豪華さも、メジャー・レーベルとなんら遜色のないようなものになりつつあり、もはやなにがメジャーでなにがインディーズなのか、区別もつかなくなってきたものだった。

そして気が付けばいつのまにか、かつてオルタナティヴ・ロックと言われたものがロックシーンの中央でスポットライトを浴びていた。それまでのメインストリームのロックは、突然「はい、もう君たちは時代遅れです」と宣告されて「はあ?」と困惑しているかのようだった。

それにしても、すごい時代だったな。

前年にベルリンの壁がぶっ壊されて以来、世界は激動の時代となった。ソ連の崩壊は止まらず、東欧の共産主義諸国も連鎖倒産みたいにしてバタバタと倒れ、世界中で火の手が上がったり花火が上がったりしているのを見つめながら、同時にロックシーンの一大革命も体験できたんだから、そりゃもう、シビれる時代だった。

そんな、オルタナがロックシーンのど真ん中になだれ込んでくる波乱の幕開けとなった1990年の10組10曲を選んでみました。

ハッピー・マンデーズ/キンキー・アフロ
Happy Mondays – Kinky Afro

Pills 'n' Thrills & Bellyaches [12 inch Analog]

ストーン・ローゼスと並ぶ”マッドチェスター”のもう一組の主役。当時流行の”エクスタシー”などの新しいドラッグをキメながら踊り狂う、「狂ったマンチェスター」の意味で「マッドチェスター」とも呼ばれたそのムーヴメントで、良い意味でも悪い意味でも、いやたぶん悪い意味だが、最もマッドチェスターを体現していたのが、このハッピー・マンデーズだった。

この曲は2ndアルバム『ピルズ・ン・スリルズ・アンド・ベリーエイクス(Pills ‘n’ Thrills and Bellyaches)』からのシングルで、全英5位のヒットとなった。ハウス・ミュージックとロックを融合させた、享楽的で刹那的なグルーヴだ。

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ジーザス・ジョーンズ/ライト・ヒア、ライト・ナウ
Jesus Jones – Right Here, Right Now

Doubt -Hq/Coloured- [Analog]

ジーザス・ジョーンズは当時”デジタル・ロック”などと呼ばれたイギリスのバンドだが、今聴くとそれほどデジタル臭さはない。

この曲は、世界が突然激動の時代となり、核ミサイルを振りかぶってにらみ合っていた東西冷戦の時代が終わり、「いま、ここで、歴史の呪縛から世界が立ち上がるのを僕は見ている」と、未来への希望に満ちた心情が歌われている。まさに歴史が変わる瞬間を歌った歌だった。

この曲はシングルで先行リリースされ、全米2位の大ヒットとなった、彼らの代表曲。翌91年リリースの名盤『ダウト(Doubt)』にも収録された。

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ライド/ライク・ア・デイドリーム
Ride – Like A Daydream

スマイル

この年デビューしたイギリスのバンド、ライドの2ndシングル。彼らの代表曲で、最高傑作だと断言してしまっていいだろう。

下を向いたまま無表情にギターを力まかせにかき鳴らす演奏スタイルは「シューゲイザー(靴を見つめる人)」と呼ばれた。

ほぼ勢いだけの曲だけれども、閃光のように目映い輝きと、一瞬で散ってしまう儚さのような美しさと、感動がある名曲だ。

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ラッシュ/スウィートネス・アンド・ライト
Lush – Sweetness and Light

Sweetness and Light

髪が黒いほうの女子、エマ・アンダーソン作の2ndシングルで、米オルタナ・チャートで4位まで上がるヒットとなり、アメリカでも注目を浴びることとなった、ラッシュの出世作だ。

霧のように拡がるファルセット・ヴォイスが煌めくように軽やかに響き渡るギターに交じり合い、ダンス・ビートに乗って明滅する、90年代の香り漂う桃源郷だ。

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シニード・オコナー/愛の哀しみ
– Nothing Compares 2U

Sinéad O'Connor - I Do Not Want What I Haven't Got - Ensign - 210 547

アイルランド出身のシニード・オコナーの2ndアルバム『蒼い囁き(I Do Not Want What I Haven’t Got)』からのシングルで、全米・全英ともに1位を獲得したほか、世界中のチャートで1位を獲得した、この年最大のヒット曲。プリンスが自身直轄のファンク・バンド、ザ・ファミリーに書いた曲のカバーだ。

シニードは過激な言動や波乱の人生も話題になったが、このオーラに満ちた魂からあふれ出るような名唱は忘れ難い。
シニードのアップだけの極めてシンプルなPVも、どんな趣向を凝らした豪華なPVよりも感動的だ。

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ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズ/ザ・ウィーピング・ソング
Nick Cave and the Bad Seeds – The Weeping Song

Good Son

それまではおそろしいほど攻撃的で前衛で暗黒だったニック・ケイヴの作風が一変した、暗いながらも「歌」に溢れた6thアルバム『ザ・グッド・サン(The Good Son)』からのシングル。わたしはこのアルバムで彼らのファンになった。

バッド・シーズのギタリスト、ブリクサ・バーゲルトとのデュエットのスタイルで歌われている。二人とも似たようなバリトン・ヴォイスなのでどっちがどっちだかわかりにくいけど、最初に歌いだすほうがブリクサだ。

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ザ・ブラック・クロウズ/ハード・トゥ・ハンドル
The Black Crowes – Hard To Handle

Shake Your.. -Annivers- [12 inch Analog]

伝統的な王道ロック・スタイルの米ジョージア州出身のブラック・クロウズにとっては、オルタナティヴ・ロックが勢いを増しつつあるこの時代は完全に逆風だった。

しかしこのオーティス・レディングのカバー・シングルでメインストリーム・ロック・チャートの1位を獲得し、この曲を収録した1stアルバム『シェイク・ユア・マネー・メイカー(Shake Your Money Maker)』は全米4位、500万枚以上を売り上げる大ヒットとなった。

ジェーンズ・アディクション/ストップ!
Jane’s Addiction – Stop!

Ritual De Lo Habitual

L.A.出身のジェーンズ・アディクションの2枚目のスタジオ・アルバム『リテュアル・デ・ロ・ハビテュアル(Ritual De Lo Habitual)』からのシングル。

アルバムは全米19位とヒットし、当時のオルタナティヴ・ロックの中でも先頭を走る存在だったが、時代の追い風にもかかわらず本作を最後に解散してしまう(2001年以降、再結成と解散を繰り返す)。

ジェリーフィッシュ/半分裸の王様
Jellyfish – The King is Half Undressed

Bellybutton

サンフランシスコの2人組、ジェリーフィッシュの1stシングル。パワフルなサウンドとポップなメロディが両立した音楽性は、〈新世代パワー・ポップ〉と呼ばれた。

アンディとロジャーはちょっとした天才ソングライター・コンビで、アルバムを2枚リリースして高く評価されたものの、94年には惜しまれつつ解散してしまった。

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ソニック・ユース/ダーティ・ブーツ
Sonic Youth – Dirty Boots

Goo

アンダーグラウンドの帝王、ソニック・ユースのまさかのメジャー移籍第1弾は、キャリア最高傑作となり、後進たちに新たな道を示した。この曲の美しくも不穏なイントロで90年代ロックの幕は切って落とされたのだ。

このPVの、主人公の少女が着ているTシャツにはロックの未来が予言されている。
この1年後に、そのバンドが世界中で大ブレイクして革命を起こし、ロックの歴史を変えるのである。

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選んだ10曲がぶっ続けで聴けるYouTubeのプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

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ヒストリー・オブ・ロック 1990【革命前夜】Greatest 10 Songs (goromusic.com)

ぜひお楽しみください。

(by goro)